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J2730 学信和尚行状記 慧満・僧敏 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J18_0316A01: て。自爾としてこれを能せり。皆頗る雅賞を得たり。
J18_0316A02: 唯世情には淡しくて。財欲薄く。物のあたひの貴賤
J18_0316A03: をも。つぶさにしられざること。孩童にもしかざる
J18_0316A04: こと多かりき。
J18_0316A05: 師體氣ゆたかに肥滿して。寬裕なる人なりけれど
J18_0316A06: も。護法と猒欣との志のみ深く。その扶宗爲人など
J18_0316A07: に臨みては。最勇敢にして。都て身命のあることを
J18_0316A08: しらざるがごとし。一年。宗義の事ありし時は。木
J18_0316A09: 曾路を一七日に經歷して。江戸にいたられしことあ
J18_0316A10: りけり云云されば世人には迂遠なる人なり。我慢な
J18_0316A11: る人なりなど。常に誚り笑れぬれども。聊もかへり
J18_0316A12: みず。末後に護法の二字を書遺れしにても。その素
J18_0316A13: 志を察得すべし。
J18_0316A14: 師著述の書。蓮門興學編。一枚起請文符合决。一念
J18_0316A15: 邪正决。幻雲稿等あり。皆密在せり。中にも師が護
J18_0316A16: 法の深志をあらはされしば興學編なり。これに廣略
J18_0316A17: 二本あり。其廣本には。初に大意叙由。次に自他優
J18_0316B18: 劣。反復。護法。禦侮。學意。三寶。弊源の七章あ
J18_0316B19: り。詮ずるに。諸國に一夏法幢を建て。有志のもの
J18_0316B20: を推出し。學才あるものを選擧し。宗部を研究し。
J18_0316B21: 心行を鍊磨し。宗規を嚴正し。賞罸を行ひ。軍書復
J18_0316B22: 讐の雜亂談義を停止し。吉水末流の濁亂を淸澄し
J18_0316B23: て。三代相傳の眞風を永世に振んことを僧綱に懇
J18_0316B24: 救せらるるなり。これをよむものをして。慨歎切齒
J18_0316B25: して。志を激發せしむ。實に師を知師を罪するもの
J18_0316B26: は此書なりといふべし。此故に。自宗の僧綱尊宿も
J18_0316B27: これを寫得珍敬し。他宗の大德碩師も。これをよみ
J18_0316B28: て護法の深志を感じ。各此趣をもて海衆を攝得し給
J18_0316B29: ふと聞り。その略本は京師守興隱士の挍正するもの
J18_0316B30: にして。編目を除き省略して。終りに師より僧綱に
J18_0316B31: 奉るの尺牘一篇を附せり此外蓮門禮樂編。雜談集等
J18_0316B32: の二三の書あり。そは皆師に託して僞造せるものな
J18_0316B33: りと知るべし。
J18_0316B34: 師伊豫に居住の時。西條の小野氏の女に。芳鶴とい

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