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J2730 学信和尚行状記 慧満・僧敏 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J18_0314A01: はく。師生涯律制によりて。袈裟を護ること身皮
J18_0314A02: のごとく。しばらくもはなたれざりしかば。弟子
J18_0314A03: 等その遺骸の袈裟をはなつに忍びずして。そのま
J18_0314A04: まに荼毘せり。しかるに烈火中に三寸四方ばかり。
J18_0314A05: やけ殘りけるもいと奇なりけり。抑袈裟を焚燒す
J18_0314A06: るは非法なること。佛子たるものたれかしらざら
J18_0314A07: ん。しかはあれど。師の身皮をはぐがごとく思
J18_0314A08: へる人情より。是非の沙汰にも及ばざりしなり。
J18_0314A09: さるに此一片のやけ殘りしは。思ふに袈裟はかな
J18_0314A10: らずやくべからず。やくは非法なることを後にし
J18_0314A11: らしめんとて。おのづからやけ殘りしにもやあら
J18_0314A12: んと。弟子等慚汗をながして。その罪を謝し侍り
J18_0314A13:
J18_0314A14: 按るに。死屍に袈裟をおぼふべからざることは五
J18_0314A15: 分に。屍には衣を以て根をおぼふべしといへり。
J18_0314A16: 凖ずるに裸露なるべし。五百問に。先僧に白し
J18_0314A17: て。亡人の泥洹僧。衹支をもて屍をおぼふて送る
J18_0314B18: べしといへり。僧に白するは。是僧物なるが故な
J18_0314B19: り。裙衹支今準用すべし。世に五條を披せしむる
J18_0314B20: といふは非なり。制物を以ては看病を賞ずべきか
J18_0314B21: 故也。極上の看病には上の三衣をあたへ。中下の
J18_0314B22: 看病には下中の衣をあたふべし等とくはしくは。
J18_0314B23: 行事鈔二衣篇。送終篇を披て尋ぬべし有部律に
J18_0314B24: も。屍を焚燒し。水に投し。地に埋むの外。空野
J18_0314B25: 林中にすつるにも。袈裟は論なし。内衣をも著せ
J18_0314B26: ずして。ただ裸身の上に。竹草の葉をもて身をお
J18_0314B27: ぼふべしと見へたり。その亡人物の中に於ては。
J18_0314B28: 六物をもて瞻病の者を賞し。その功量をはかり
J18_0314B29: て。さづけてもて恩を報ずべしといへり。さらば
J18_0314B30: 埋葬するにも。袈裟は披着せしめさる法也。况や
J18_0314B31: 火葬をや。志士よろしく。律文を研究して。無知
J18_0314B32: の罪を造ることなかれ。本傳しばらくこれをはぶ
J18_0314B33: くこころここにあり。今問によりて止ことを得
J18_0314B34: ず。これをしるして。幸ひ懺摩になずらへ侍るの

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