浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J18_0314A01: | はく。師生涯律制によりて。袈裟を護ること身皮 |
J18_0314A02: | のごとく。しばらくもはなたれざりしかば。弟子 |
J18_0314A03: | 等その遺骸の袈裟をはなつに忍びずして。そのま |
J18_0314A04: | まに荼毘せり。しかるに烈火中に三寸四方ばかり。 |
J18_0314A05: | やけ殘りけるもいと奇なりけり。抑袈裟を焚燒す |
J18_0314A06: | るは非法なること。佛子たるものたれかしらざら |
J18_0314A07: | ん。しかはあれど。師の身皮をはぐがごとく思 |
J18_0314A08: | へる人情より。是非の沙汰にも及ばざりしなり。 |
J18_0314A09: | さるに此一片のやけ殘りしは。思ふに袈裟はかな |
J18_0314A10: | らずやくべからず。やくは非法なることを後にし |
J18_0314A11: | らしめんとて。おのづからやけ殘りしにもやあら |
J18_0314A12: | んと。弟子等慚汗をながして。その罪を謝し侍り |
J18_0314A13: | ぬ |
J18_0314A14: | 按るに。死屍に袈裟をおぼふべからざることは五 |
J18_0314A15: | 分に。屍には衣を以て根をおぼふべしといへり。 |
J18_0314A16: | 凖ずるに裸露なるべし。五百問に。先僧に白し |
J18_0314A17: | て。亡人の泥洹僧。衹支をもて屍をおぼふて送る |
J18_0314B18: | べしといへり。僧に白するは。是僧物なるが故な |
J18_0314B19: | り。裙衹支今準用すべし。世に五條を披せしむる |
J18_0314B20: | といふは非なり。制物を以ては看病を賞ずべきか |
J18_0314B21: | 故也。極上の看病には上の三衣をあたへ。中下の |
J18_0314B22: | 看病には下中の衣をあたふべし等とくはしくは。 |
J18_0314B23: | 行事鈔二衣篇。送終篇を披て尋ぬべし有部律に |
J18_0314B24: | も。屍を焚燒し。水に投し。地に埋むの外。空野 |
J18_0314B25: | 林中にすつるにも。袈裟は論なし。内衣をも著せ |
J18_0314B26: | ずして。ただ裸身の上に。竹草の葉をもて身をお |
J18_0314B27: | ぼふべしと見へたり。その亡人物の中に於ては。 |
J18_0314B28: | 六物をもて瞻病の者を賞し。その功量をはかり |
J18_0314B29: | て。さづけてもて恩を報ずべしといへり。さらば |
J18_0314B30: | 埋葬するにも。袈裟は披着せしめさる法也。况や |
J18_0314B31: | 火葬をや。志士よろしく。律文を研究して。無知 |
J18_0314B32: | の罪を造ることなかれ。本傳しばらくこれをはぶ |
J18_0314B33: | くこころここにあり。今問によりて止ことを得 |
J18_0314B34: | ず。これをしるして。幸ひ懺摩になずらへ侍るの |