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J2730 学信和尚行状記 慧満・僧敏 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J18_0311A01: の老若男女。此慈濟を蒙りて。露命を全くするもの
J18_0311A02: 多かりけり。
J18_0311A03: 同七年丁未二月鎭西上人五百五十年忌にあたれり。
J18_0311A04: 師筑紫に下向し。善導寺にいたり。大衆とともに法
J18_0311A05: 筵につらなり。禮誦をなして慈恩を謝せらる。その
J18_0311A06: 往還にも。處處にて宗部を講じ法施をなして化益せ
J18_0311A07: られければ。その敎導によりて。吉水の正法に潤ふ
J18_0311A08: もの。もとも多く念佛することの四遠にあまねかりけ
J18_0311A09: れば。人皆元祖大師の再生し給ふなりとて。あふぎ
J18_0311A10: たふとみける。
J18_0311A11: 同八年戊申に四月より。師不食の所勞ありて。たた
J18_0311A12: 麫類を受用せらるる外。すべて他物を食せられずし
J18_0311A13: かれども護法利物の情平生に異ならず。八月病をつ
J18_0311A14: とめて伊豫にいたり。岩城の淨光寺にて説法五六
J18_0311A15: 席。今治の來迎寺に於て。龍尚舍の神國决疑編を講
J18_0311A16: 演せらる。かくて加祐軒に歸錫し。醫藥加養すとい
J18_0311A17: へども。病勢漸重りて。その功驗あることなし。こ
J18_0311B18: れによりてみづからたつべからざるを知りて。弟子
J18_0311B19: 等に後事を屬し。遺誡至切にして護法の素懷をのべ
J18_0311B20: て策勵せらる。
J18_0311B21: 翌年己酉。寬政改元夏。六月二日より藥食ともに廢
J18_0311B22: してもはら終焉の用意をなせり。看護の者僅に三人
J18_0311B23: と定め。多衆の來入を避らる。その一人は枕頭にあ
J18_0311B24: りて念佛助音し。一人は次にありて事を辨じ。一人
J18_0311B25: はまたその次にありて内外の事をはからしむ。さて
J18_0311B26: 本院の本堂にて。大衆に。念佛百萬遍を修せしめ。
J18_0311B27: 又知死期をかぞへて。一心待死の用心さらに怠ること
J18_0311B28: なく。只一向に念佛せられけり。
J18_0311B29: 五日師筆硯をもとめらる。これをきよめて奉るに。
J18_0311B30: みづから護法の二字を書し。又一偈をつづり。和歌
J18_0311B31: を詠じて。しるしていはく。
J18_0311B32: 來也來也。我法王家。快樂即是。大白牛車。
J18_0311B33: いかはかりたのしからまし迎らる
J18_0311B34: 花のうてなの深き御法は

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