ウィンドウを閉じる

J2660 無能和尚行業記 宝洲 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J18_0159A01: ふる間。隨分に相續し給はは。一生の勤苦は須臾の
J18_0159A02: 間にて。頓て前念命終の砌には。聖衆の迎將に預
J18_0159A03: り。後念即生の刻には。速かに黄金の膚となり。三
J18_0159A04: 明六通無礙自在を得ん事。豈たのもしからずや。只
J18_0159A05: 兎にも角にも助給へ南無阿彌陀佛と稱ふべき也
J18_0159A06: 一師寶永六年十二月廿六日の晝。少少衣類の事な
J18_0159A07: と。兎や角おもひて打まどろまれたる夢に。禪僧祖達
J18_0159A08: 來て告る樣。紙衣はよはきこそ寶なれ。其故は。紙
J18_0159A09: 衣の破れ易きに付ても。此身のあやうき事もしられ
J18_0159A10: て。修行を勵ます便と成なり。然るを不得心の世捨
J18_0159A11: 人の紙衣もつよきが能抔と求めあひたるは。心なき
J18_0159A12: 事なりといふて打笑と見て夢覺ぬ。誠に此夢の告。
J18_0159A13: 肝に染て思ひしられけれは。更に紙衣の十德を考へ
J18_0159A14: 得たり。一易求無憂二無盜賊怖三離名利念四
J18_0159A15: 防寒遮風五無洗濯煩六蚤虱不住七離執著念
J18_0159A16: 八起居自靜九絶他羨望十勵行法媒已上此中に第
J18_0159A17: 十の德殊に肝心と。歌に紙衣は世を捨人の綾錦求め
J18_0159B18: やすくて十の德ありと。かの明遍僧都の紙衣にゑも
J18_0159B19: んつくろふ程の者は。不覺人にて有けると宣しも同
J18_0159B20: し風情なり
J18_0159B21: 師の夢の記に云
J18_0159B22: 一寶永六年十二月廿七日の夜。觀念法門に引く所の
J18_0159B23: 般舟三昧經の。佛言四衆於此間國土念阿彌陀佛。
J18_0159B24: 專念故得見之。即問持何法得生此國。阿彌陀
J18_0159B25: 佛報言欲來生者當念我名莫有休息即得來
J18_0159B26: 生といへる文の内下の三句を夢みたり。餘りあり
J18_0159B27: かたく思ひしかは。かくつつけ侍る
J18_0159B28: 極樂へ生れんことをおもひなは。たえず唱へよ南無
J18_0159B29: 阿彌陀佛
J18_0159B30: 一寶永七年正月九日の夜夢みらく。或僧來りて。長
J18_0159B31: 三尺程ある古き掛物を壁に掛て拜ませける。其畫像
J18_0159B32: の體。左の方には。二十五の聖衆來迎のよそほひ。
J18_0159B33: 右の方には一僧端坐合掌せるを。觀音蓮臺を擎げ近
J18_0159B34: づき給ふありさまなり然れとも繪の體初心に見えけ

ウィンドウを閉じる