浄土宗全書を検索する
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| 巻_頁段行 | 本文 |
|---|---|
| J18_0158A01: | 往生露も心を置く事なく。今ただ浮世のいとと厭は |
| J18_0158A02: | しく。引接の期の待遠なるを歎く斗に候。若命猶つ |
| J18_0158A03: | らくて世にながらへ候はば。夏中下向致す事もこれ |
| J18_0158A04: | あるべく候。心に任せて筆を染れは。稱名の暇をさ |
| J18_0158A05: | え候故。思ひを殘して紙毫を抛つ南無阿彌陀佛已上取詮 |
| J18_0158A06: | 師或人に書與へられし一紙に云 |
| J18_0158A07: | 往生禮讃云。仰願一切往生人等。善自思量。已能今 |
| J18_0158A08: | 身願生彼國者。行住坐臥必須勵心尅己晝夜莫 |
| J18_0158A09: | 廢畢命爲期。上在一形似如少苦。前念命終後 |
| J18_0158A10: | 念即生彼國。長時永劫常受無爲法樂乃至成佛不 |
| J18_0158A11: | 逕生死豈非快哉應知文然阿上人云。此文念佛 |
| J18_0158A12: | 修行之龜鏡也。收心腑莫忘。誠に自他の身を思 |
| J18_0158A13: | 忖するに。曠劫以來三界に流轉して。四生の身を受 |
| J18_0158A14: | る間。常に三途の底に沈み。希に人天の波に漂ひ。 |
| J18_0158A15: | 生死の苦患いくはくぞや。然るにたまたま人趣の生 |
| J18_0158A16: | を感じ。逢かたき佛法にあふといへとも。戒行持ち |
| J18_0158A17: | 難く。定惠修し難し。悲哉寶の山に入ながら。手を |
| J18_0158B18: | 空して。重て三途の舊里に歸りなんとす。誰かこれ |
| J18_0158B19: | を歎かさらん。寔に彌陀大悲主。罪惡深重の機の爲 |
| J18_0158B20: | に起し給へる。超世の本願に遇へ奉る事。渡に船を |
| J18_0158B21: | え。闇に燈をえたるが如し。寔に多生の大慶。歡喜 |
| J18_0158B22: | 比すべき者なし。知ぬ三界の煩籠を出て。安養の寶 |
| J18_0158B23: | 刹に至らん事。只今生に極りぬ。早く萬事を抛て。 |
| J18_0158B24: | 西方の一路を唯願唯行すべし。若餘日を賴まば心行 |
| J18_0158B25: | かならず疎かならん。無常迅速なり。明日を期し難 |
| J18_0158B26: | し。只今を必死の限と思ふべし。昔し仁和寺邊の聖 |
| J18_0158B27: | は。耳を塞て念佛し。心戒上人は蹲踞して安坐せず。 |
| J18_0158B28: | 彼も凡夫なり。我も人趣なり。機根はるかに隔つに |
| J18_0158B29: | あらず。唯これ無常を必至と心に置くと置ざると |
| J18_0158B30: | にあるなり。又三塗億劫の猛苦を思はは。設ひ骨を |
| J18_0158B31: | 粉にし。身を碎くとも。更に痛む所にあらじ。况や |
| J18_0158B32: | 易行易修の念佛をや。安養常住の快樂を思はは。設 |
| J18_0158B33: | ひ百千萬歳の勤修も。何そ退屈を生ぜん。况や一生 |
| J18_0158B34: | 暫時の相續をや。泡末の身消さる程。草露の命存ら |