浄土宗全書を検索する
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| 巻_頁段行 | 本文 |
|---|---|
| J18_0156A01: | と思ひ合せ。兎角世を遁れ心儘に念佛して往生せん |
| J18_0156A02: | と思ひ。父母妻子の歎きをは。ふつに思ひやり侍ら |
| J18_0156A03: | ず。只何のわきまへもなく。遁世し侍る也。今あり |
| J18_0156A04: | がたき明師の御敎訓を承りて。深く慚愧懺悔の心起 |
| J18_0156A05: | りて。身の置き所なき程に覺へ候とて。頻に涙を流 |
| J18_0156A06: | しけり。同行の僧共。いと哀に思ひて。相共に懺悔 |
| J18_0156A07: | 念佛せり。然ありければ。不思議やさばかりの苦痛 |
| J18_0156A08: | 立地に息み。剩へ臨終ちかくなるままに。現に佛菩薩 |
| J18_0156A09: | の來迎を拜し奉りし事。度度なり。かくて命終の時 |
| J18_0156A10: | 日を指し。念佛退轉なく。最後安詳にして。往生の |
| J18_0156A11: | 素懷を遂侍りぬ。其臨末の勝相は。具に別記にあ |
| J18_0156A12: | り。これ偏に師の敎化の力なりとて。人皆感じあへ |
| J18_0156A13: | りける |
| J18_0156A14: | 師善入法師に遣はす消息に云 |
| J18_0156A15: | 別後程のいまた遠からずといへとも。思ひほとんと |
| J18_0156A16: | 胡越におなしく候。いかか其境の蓮友のいつれも懈 |
| J18_0156A17: | 怠なく。淨業相はげまされ候や。無常迅速の世なれ |
| J18_0156B18: | は。はやあだし野の露と消にし方もあるべきと。心 |
| J18_0156B19: | 許なく存候。此地なとにも。暫時の間に。兼て思ひ |
| J18_0156B20: | よらぬ人の。先連て鳥部山の煙と立のぼりしもあま |
| J18_0156B21: | たこれあり候。かかるに付ても。自他共に念死念佛 |
| J18_0156B22: | の用心。大切に用意すべき事に候。此邊には只並 |
| J18_0156B23: | なみの行者ばかりにて。眞成に往生を思ひ入れ。委 |
| J18_0156B24: | しく念佛の安心など尋訪ふ人もなく。順次往生と打 |
| J18_0156B25: | 傾きたる者。おほくも見え候はねは。淺猿思ふに付 |
| J18_0156B26: | ても。其地にて。いづれもねんごろに後世物語いた |
| J18_0156B27: | せし事。思ひ出されて。なつかしき計に候。且此方 |
| J18_0156B28: | 小島といふ里に。彌陀大佛の靈堂これあり候間。兼 |
| J18_0156B29: | 日百萬遍苦行の大願思ひ立。今十五日の日沒より。 |
| J18_0156B30: | 彼寂堂に引籠り。午時一食の外は。飮食曾て口にふ |
| J18_0156B31: | れす。手水便利の外。更に座を起ず。隨分に相勵候 |
| J18_0156B32: | 所に。七日七夜にして。果して百萬遍成就致し畢ぬ。 |
| J18_0156B33: | 予か如き下根の身。七日にて成就すべき事とはゆめ |
| J18_0156B34: | ゆめ思ひ寄ざる所にやすやすと成就せし事。ひとへ |