浄土宗全書を検索する
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| 巻_頁段行 | 本文 |
|---|---|
| J18_0153A01: | かる念佛をは。疎畧になすはいか成心ぞや。誠に此 |
| J18_0153A02: | 度あひ難き本願名號に逢ひ奉りぬ。一遍にても。お |
| J18_0153A03: | ろそかに思ふべきにあらず。然るを或は咄を搯入 |
| J18_0153A04: | れ。或は念佛一遍に。數珠を三顆四顆なと驀過事。 |
| J18_0153A05: | ゆゆしき不實の者なりとぞ誡め申されける |
| J18_0153A06: | 一享保元年三月師相馬不亂院にて。勸化の砌。或る |
| J18_0153A07: | 信士日課念佛を受け。名號を拜受しけり。其後名號 |
| J18_0153A08: | を裱具して。是を佛壇に揭け。念佛を勤め居ける |
| J18_0153A09: | は。一兩日過て夢みるやう。或寺へ諸人參詣の樣子 |
| J18_0153A10: | に見へける故。人並に參りたるに。佛殿の中心に高 |
| J18_0153A11: | 座を飾れり。扨は説法あるにや。能き所へ參り合ひ |
| J18_0153A12: | たりと悅ひて。内へ入りて見候へは。人は一人もな |
| J18_0153A13: | し。われ心に思ふやう。今まて大勢來りつる樣に見 |
| J18_0153A14: | えしに。一人もこれ無き事。いと不審なりと。すな |
| J18_0153A15: | はち佛壇の陰を覗きけれは。無能和尚淺黑の直裰に |
| J18_0153A16: | 木蘭の袈裟を着し。齋を受用しておはしましけり。 |
| J18_0153A17: | 扨は御齋以後の法談なるべしと。しばらく控へ居候 |
| J18_0153B18: | 所に。師咄の樣に仰せけるは。愚僧方より。日課を |
| J18_0153B19: | 受られ候人人の中に。惡く心得候方もあるにや。日 |
| J18_0153B20: | 課二千三千。或は五千一萬と。人人の根機相應に受 |
| J18_0153B21: | なから。其所作を大儀に思ひ。或は何時にても。其 |
| J18_0153B22: | 日の所作を勤め仕廻へは。最早心安しと思ひ。夫よ |
| J18_0153B23: | りは一向念佛を打捨て。餘念にのみ馳居候人あり。 |
| J18_0153B24: | これゆゆしき僻事なり。設ひ百遍千徧の日課なりと |
| J18_0153B25: | も。其數を搯り仕廻ても。暇だにあらば。心に念佛 |
| J18_0153B26: | を忘れず。隨分に稱るやうにする者なり。日所作を |
| J18_0153B27: | 定て勤むる事も。詮はただ念佛を相續し。往生極樂 |
| J18_0153B28: | の念を忘るまじき爲なり。然るを所作の數を搯り果 |
| J18_0153B29: | て後は。ひたすら念佛を打忘れ居候事。千萬本意を |
| J18_0153B30: | 失ひたる事なり。此事をあまねく諸人にいひ聞せ。 |
| J18_0153B31: | 能能心得申させたき者也。惣して念佛に怠るも明日 |
| J18_0153B32: | を賴む心ある故也。今日今夜の内。只今を臨終の時 |
| J18_0153B33: | 節と思ひなさは。設ひ日課はわづか百遍千遍と定む |
| J18_0153B34: | とも。念佛はをのづから心の内に絶えず唱へらるる |