浄土宗全書を検索する
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| 巻_頁段行 | 本文 |
|---|---|
| J18_0150A01: | のならざる一大事なり。此時にあたりて。人の機嫌 |
| J18_0150A02: | を憚りて眞實を告ず。大切の同行の一大事を取り損 |
| J18_0150A03: | せんは。千萬不實不仁の至りなるべし。相構て眞實 |
| J18_0150A04: | 慈悲の心を起して。いか樣にも方便をめぐらし。念 |
| J18_0150A05: | 佛を勸めて。往生を遂げしむべしとそ申されける |
| J18_0150A06: | 私に案ずるに。此中にいか樣にも方便をめぐらして |
| J18_0150A07: | といへる語。心を著べし。いかに實を以て告ればと |
| J18_0150A08: | て。病人の機嫌をもかへり見ず。無骨に覺悟せよな |
| J18_0150A09: | どいひて。病人に瞋恚厭憎の心を起さしめは。敎化 |
| J18_0150A10: | の詮なかるべし。まして今はの時に臨ては。萬事心 |
| J18_0150A11: | 細かるべし。知識看病人よくよく心得あるべき事な |
| J18_0150A12: | り。有人云。わか臨終の時には。すは只今と見ゆる |
| J18_0150A13: | はなどいふべからず。無始より惜み習ひたる命なれ |
| J18_0150A14: | は。心ぼそく覺ゆる事もあらんか。ただ念佛を勸む |
| J18_0150A15: | べき也と一言芳談一休禪師の。身まかる時は。草木まて |
| J18_0150A16: | なつかしといはれけるとなん羅山子の野槌に見えたり惣て知識看 |
| J18_0150A17: | 病人の用心は。專ら病者の心を將護し。方便して勸 |
| J18_0150B18: | むるを第一とすべきなり。 |
| J18_0150B19: | 一或時人人あまた打寄て。僧の身持惡き事などある |
| J18_0150B20: | を。かれこれ語りあひけるを。師聞付て申されし |
| J18_0150B21: | は。惡僧の惡事を語るは。善き人の事を惡くいふよ |
| J18_0150B22: | りは。其罪かへつて重し。其故は。善き人の上には。 |
| J18_0150B23: | 一旦謗難をうくれども。本淸けれは。後には晴るる |
| J18_0150B24: | 者なり。惡人は本實に濁りたれは一たひ諸人に科を |
| J18_0150B25: | いひ立らるれは。再び淸まる事なし。およそ惡人の |
| J18_0150B26: | 惡を造りて佛法に遠ざかるも。みな業障深重なる |
| J18_0150B27: | 故なれは。却て慈悲を起して。これをあはれむべき |
| J18_0150B28: | 事なり。かならず憎み謗る事なかれとぞ。誡め申さ |
| J18_0150B29: | れける。私に云。菩薩戒に實に過ある者を謗るをは |
| J18_0150B30: | 重禁とし。本過なき人を謗るをは。輕戒に入らるる |
| J18_0150B31: | も。實の過は其の痛甚深くもとなき過は。終には晴 |
| J18_0150B32: | るる故其人の惱。一旦なるか故なり |
| J18_0150B33: | 一師或時農人あまた炎天に汗を流して。耕作するを |
| J18_0150B34: | 見て。隨侍の者に申されしは。かく農夫のたへがた |