浄土宗全書を検索する
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| 巻_頁段行 | 本文 |
|---|---|
| J18_0149A01: | の内。いづれにたよらん。弟が如く。佛祖の敎を信 |
| J18_0149A02: | ぜず放逸にして。空しく光陰を送り。最後に臨て。 |
| J18_0149A03: | 平生の懈怠を悔ゆとも何の益かあらん。すべからく |
| J18_0149A04: | 兄が老翁の敎を信ぜし如く。早く本願の一行を信じ |
| J18_0149A05: | て。毎日寸陰を惜み。隨分に念佛相續して。此度順 |
| J18_0149A06: | 次往生を遂け。速かに輪廻の里を離て。無爲の快樂 |
| J18_0149A07: | を得給ふべしと勸化せられしかは。日課念佛未受の |
| J18_0149A08: | 者は。これを受け。已受の者は。更に勇進をぞ加へ |
| J18_0149A09: | 侍る |
| J18_0149A10: | 一師或る信士に尋ねられしは。御邊には一向專修に |
| J18_0149A11: | 勤られ候やと。信士答て申さく。先年より一向專修 |
| J18_0149A12: | に相勤候。但し地藏尊には。二佛中間の衆生を守り |
| J18_0149A13: | 給ふよし承り候て。信心增進の爲に。勤行の折に |
| J18_0149A14: | は。大士の寶號十聲づづ稱え候。この外には。餘の |
| J18_0149A15: | 咒願一切まじへ候はずと。師云念佛の外には。護念 |
| J18_0149A16: | の爲とて。殊更地藏の寶號を唱るに及ばず。其故 |
| J18_0149A17: | は。念佛の行者をは。一切の佛菩薩諸天善神も。こ |
| J18_0149B18: | とごとく護念愛樂し給ふ。されば別して地藏尊を祈 |
| J18_0149B19: | らずとも。念佛たに眞實に申せは。大士の加護は。 |
| J18_0149B20: | をのづからこれあるべしと。示されしかば信士いよ |
| J18_0149B21: | いよ一行に結歸してけり |
| J18_0149B22: | 一師或時語りていはく。同行の内誰にても。病をう |
| J18_0149B23: | け。快氣あるまじき樣に見えなば。指付て必死の覺 |
| J18_0149B24: | 悟をさせ念佛を勸むべし。われ世上を見るに。此度 |
| J18_0149B25: | 限りと見ゆる病人にも。其前にては。養生せられ |
| J18_0149B26: | は。快氣あるべし。顏色も少し能きなといひて。陰 |
| J18_0149B27: | にては。彼人の病氣。此度必死と見ゆ。中なか快復 |
| J18_0149B28: | すべきにあらずなどいへる類ひままおほし。是いは |
| J18_0149B29: | ゆる虚花不實殃及の語なり。設ひ親類眷屬の心に碍 |
| J18_0149B30: | るとも。それをは遠慮すべからず。若臨終近き病人 |
| J18_0149B31: | に向ひて。快氣あるべしなといひて。油斷さする |
| J18_0149B32: | は。譬へは隣家に失火あらんに。火許遠し別條ある |
| J18_0149B33: | まじなどいひて。家主に油斷せさせ。財寶悉く燒き |
| J18_0149B34: | 失はしめんか如し。人人の臨終は。ふたたび仕直し |