浄土宗全書を検索する
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| 巻_頁段行 | 本文 |
|---|---|
| J18_0144A01: | 夢。或は殷の武丁の傅説を見。孔子の周公旦を見給 |
| J18_0144A02: | ひ。丁固王濬が生松懸刀の讖夢の如き。内外二典に |
| J18_0144A03: | 亙りて。甚おほし。具に擧るに遑あらず。源氏物語 |
| J18_0144A04: | 若菜卷にも。俗の方の文を見侍りしにも。又内敎の心 |
| J18_0144A05: | を尋る中にも。夢を信ずべき事おほく侍りといへ |
| J18_0144A06: | り。猶又わが神國夢託の靈告一にあらず。熊野高倉 |
| J18_0144A07: | は。太神宮の夢告に依て韴靈劒を得て。これを神武 |
| J18_0144A08: | 帝に奉りし事。神武紀にあり。伊勢内外の宮の御遷 |
| J18_0144A09: | 座も。皆神明の夢託に依て。鎭め祭り奉りし事。倭 |
| J18_0144A10: | 姬世紀。太田命の訓傳等に見えたり。况やわが光明 |
| J18_0144A11: | 大師の。聖僧の指授を蒙り。吉水大師の善導の來現 |
| J18_0144A12: | を感じ給ふが如き。これらの瑞夢。誰かこれを信ぜ |
| J18_0144A13: | ざらん。今此傳に載る所も。悉く篤實の緇素。正信 |
| J18_0144A14: | の心中より。感ずる所の靈夢にして。をのをの誓書 |
| J18_0144A15: | 誓詞を以て告る所の者なり。努努疑惑を容る事なか |
| J18_0144A16: | れ |
| J18_0144A17: | 一或人問ていはく。佛光を拜する事は。持戒の德。 |
| J18_0144B18: | 或は諸善の功に依るといへる人あり。但念佛の者も |
| J18_0144B19: | また拜する事あるべきや。師答て云。夫極重惡人一 |
| J18_0144B20: | 聲十聲の念佛にて。無漏無生の寶國に生ずる事。皆 |
| J18_0144B21: | これ本願の不思議にてあれは。光明を感見する事 |
| J18_0144B22: | も。又自力の行德には。よるまじきなり。他力難思 |
| J18_0144B23: | の行。通途の敎とは異なるべしとそ申されける |
| J18_0144B24: | 一師或時。四邊を眺望しながら。念佛せられける |
| J18_0144B25: | が。農夫のあら田を鋤返すを見て。俄かに落涙せら |
| J18_0144B26: | るる事。頻りなり。傍の人尋申けれは。師申さるる |
| J18_0144B27: | やう。あの如く農夫となり馬と成て。未明よりし |
| J18_0144B28: | て。あらけなく叱り訇て耕をなすありさま。いかな |
| J18_0144B29: | る先業にやと。つらつら思ひ計るに。一切衆生輪廻 |
| J18_0144B30: | 生死の間には誰にも皆かくあるべし。然るにわれら |
| J18_0144B31: | 此度あひ難き本願に逢ひて。生死を離れ淨土に生せ |
| J18_0144B32: | ん事。染染と肝に銘して。ありがたく覺ゆるなり。 |
| J18_0144B33: | いつか往生の本懷を遂け。又生死に立還て。彼等を |
| J18_0144B34: | もことごとく濟度せん者をといひて。又頻に酸鼻おは |