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J2660 無能和尚行業記 宝洲 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J18_0140A01: 滅後或夜の夢想に。師言の外に。奇麗なるところに
J18_0140A02: おはしけるが。善之丞を近く召て宣ふやう。汝親に
J18_0140A03: 仕へて孝養の志ふかし。故にわれ甚これを感ず。仍
J18_0140A04: て先に種種の靈益をあたへし事も。皆わが致せし所
J18_0140A05: なり。われはこれ極樂において。上品の地藏なり。
J18_0140A06: 假に世に出て。衆生を濟度せり。然りといへども。
J18_0140A07: 世人疑ひを懷き。謗を興して。敎化し難き折節。な
J18_0140A08: んぢ不思議の利益を蒙り。延て諸人の信を勸めし
J18_0140A09: 故。やうやうに濟度の本意を遂たり。人間の疑心ほ
J18_0140A10: ど。淺猿きものなし。かくいひし事も。深信の人に
J18_0140A11: のみ傳へて。疑惑の者に語ることなかれ。正法を聽
J18_0140A12: く疑ひ謗るものあれば。大磐石を以て。身を碎かる
J18_0140A13: るよりも苦し。念佛の功德廣大なる事。言語の及ぶ
J18_0140A14: 所にあらず。設ひ道を通るに。乞丐人など橋の下に
J18_0140A15: ありて念佛申すとも敢てこれを輕賤すべからず。汝
J18_0140A16: 隨分に念佛して淨土に往生すべしなど。慇懃に示し
J18_0140A17: 給ふとおもひて。夢覺畢ぬと。此善之丞といへる
J18_0140B18: は。先立て地藏菩薩かたじけなくも。みづから道指
J18_0140B19: 南し給ひて。親り地獄極樂のありさまを見せしめ給
J18_0140B20: ひ。種種の現益に預りし者なり。師所所にて説法の
J18_0140B21: 砌。具に此事を語りて勸め給ひし事。諸人の知れる
J18_0140B22: 所なり猶其事の次第具に別記あり予曾てこの夢想を聞て。感仰する
J18_0140B23: 事多し。本願經を按ずるに。地藏大士因位の昔。尸
J18_0140B24: 羅善現の家に生れて聖女たりし時孝養の御志ふかく
J18_0140B25: ましませしより。遂に菩薩の行を成就して。六道の
J18_0140B26: 衆生を濟度し給へり。このゆへに今も孝心の者に與
J18_0140B27: して。不思議の勝益をあたへ給ひし事。誠に貴く覺
J18_0140B28: え侍る。又極樂上品の地藏なりと示し給へる事。是
J18_0140B29: 又奇特未曾有のおほん示現なり。予曾て蓮華三昧經
J18_0140B30: の説を見侍りしに。上品蓮臺の敎主は。地藏尊なる
J18_0140B31: 由。具に彼經に見えたり但し蓮花三昧經は秘經にて。上古相傳なし。後に龜山法皇。唐の五臺山
J18_0140B32: 竹林寺より得給ひて。是を靑蓮院良助座主に御相傳ましましける御經なりと。委しく彼座主の地藏秘記に載せ給へり予此祕
J18_0140B33: 經の説をかくと語りければ。皆人今の夢想の。暗に
J18_0140B34: 密敎と符合せる事。いと不思議なりとて。悉く感心

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