浄土宗全書を検索する
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| 巻_頁段行 | 本文 |
|---|---|
| J18_0140A01: | 滅後或夜の夢想に。師言の外に。奇麗なるところに |
| J18_0140A02: | おはしけるが。善之丞を近く召て宣ふやう。汝親に |
| J18_0140A03: | 仕へて孝養の志ふかし。故にわれ甚これを感ず。仍 |
| J18_0140A04: | て先に種種の靈益をあたへし事も。皆わが致せし所 |
| J18_0140A05: | なり。われはこれ極樂において。上品の地藏なり。 |
| J18_0140A06: | 假に世に出て。衆生を濟度せり。然りといへども。 |
| J18_0140A07: | 世人疑ひを懷き。謗を興して。敎化し難き折節。な |
| J18_0140A08: | んぢ不思議の利益を蒙り。延て諸人の信を勸めし |
| J18_0140A09: | 故。やうやうに濟度の本意を遂たり。人間の疑心ほ |
| J18_0140A10: | ど。淺猿きものなし。かくいひし事も。深信の人に |
| J18_0140A11: | のみ傳へて。疑惑の者に語ることなかれ。正法を聽 |
| J18_0140A12: | く疑ひ謗るものあれば。大磐石を以て。身を碎かる |
| J18_0140A13: | るよりも苦し。念佛の功德廣大なる事。言語の及ぶ |
| J18_0140A14: | 所にあらず。設ひ道を通るに。乞丐人など橋の下に |
| J18_0140A15: | ありて念佛申すとも敢てこれを輕賤すべからず。汝 |
| J18_0140A16: | 隨分に念佛して淨土に往生すべしなど。慇懃に示し |
| J18_0140A17: | 給ふとおもひて。夢覺畢ぬと。此善之丞といへる |
| J18_0140B18: | は。先立て地藏菩薩かたじけなくも。みづから道指 |
| J18_0140B19: | 南し給ひて。親り地獄極樂のありさまを見せしめ給 |
| J18_0140B20: | ひ。種種の現益に預りし者なり。師所所にて説法の |
| J18_0140B21: | 砌。具に此事を語りて勸め給ひし事。諸人の知れる |
| J18_0140B22: | 所なり猶其事の次第具に別記あり予曾てこの夢想を聞て。感仰する |
| J18_0140B23: | 事多し。本願經を按ずるに。地藏大士因位の昔。尸 |
| J18_0140B24: | 羅善現の家に生れて聖女たりし時孝養の御志ふかく |
| J18_0140B25: | ましませしより。遂に菩薩の行を成就して。六道の |
| J18_0140B26: | 衆生を濟度し給へり。このゆへに今も孝心の者に與 |
| J18_0140B27: | して。不思議の勝益をあたへ給ひし事。誠に貴く覺 |
| J18_0140B28: | え侍る。又極樂上品の地藏なりと示し給へる事。是 |
| J18_0140B29: | 又奇特未曾有のおほん示現なり。予曾て蓮華三昧經 |
| J18_0140B30: | の説を見侍りしに。上品蓮臺の敎主は。地藏尊なる |
| J18_0140B31: | 由。具に彼經に見えたり但し蓮花三昧經は秘經にて。上古相傳なし。後に龜山法皇。唐の五臺山 |
| J18_0140B32: | 竹林寺より得給ひて。是を靑蓮院良助座主に御相傳ましましける御經なりと。委しく彼座主の地藏秘記に載せ給へり予此祕 |
| J18_0140B33: | 經の説をかくと語りければ。皆人今の夢想の。暗に |
| J18_0140B34: | 密敎と符合せる事。いと不思議なりとて。悉く感心 |