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J2660 無能和尚行業記 宝洲 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J18_0138A01: を忘れ。佛道修行の心もなし。後世者といふ人も。
J18_0138A02: 世の賑ひに推移された。浮虚浮虚と暮す類ひ少から
J18_0138A03: ず。昔一休禪師。元日に天靈蓋を持て。都に出。人
J18_0138A04: の門ごとに指入れて。これぞ目出たし。御用心といひ
J18_0138A05: て。廻られけるとかや申傳へしも。諸人の無常を打忘
J18_0138A06: れ。長閑に思ひあひたるを。あさ猿とおぼしての所
J18_0138A07: 爲なるべし。されば願て叶ふへくは。あはれ五箇日
J18_0138A08: の内に。終りを取りて。人人に世のはかなさを示し
J18_0138A09: たき者なりと申されしに。果して二日の往生。誠に
J18_0138A10: 素願に相叶ひて。不思議に侍る由みな人語りける。
J18_0138A11: かの西行法師の。衣更着の望月の頃を願ひて。滅を
J18_0138A12: 示されしなど。師師の意樂殊なりといへとも。其所
J18_0138A13: 願の幸に相叶へる事。あはれに貴くぞ侍る
J18_0138A14: 一師既に往生を遂られしかは。東域の受化むなしく
J18_0138A15: 隔たり。西刹の同生を賴むばかりにて。遠近の緇
J18_0138A16: 白。告ざるに。爰かしこにて。中陰の佛事。百萬遍
J18_0138A17: の興行など。いと慇懃なりけり。其法化の人を感せ
J18_0138B18: しむる事。深きにあらずは。何ぞ能かくの如くなる
J18_0138B19: 事を得んや。師遺言の旨ありといへとも。受化の四
J18_0138B20: 輩相ひ議して。世の風儀に隨ひ。かつは報恩の爲
J18_0138B21: に。塔を立。眞影を造りて。廓室に安置しけり。こ
J18_0138B22: の外所所行化の地にも。をのをの。石浮圖を建て。
J18_0138B23: 謝德の志に擬す。予衆の請に應じて不斐をかへり見
J18_0138B24: ず。猥りに塔上の誌銘を記す。誌の文繁きが故に玆
J18_0138B25: に載ず。其銘にいはく。
J18_0138B26: 淑人乘運 東陲禀神 殉道委命 敷化忘身
J18_0138B27: 安養行業 惟一惟純 表塔慕德 甘棠情新
J18_0138B28: 又予曾て輓偈を賦して師を悼む有引略之
J18_0138B29: 夙植靈苗備衆芳。生前偏慕白蓮郷。道崇東嶽
J18_0138B30: 域中顯。身輶秋毫塵裡藏。松島眞風追見佛。石
J18_0138B31: 垣高軌俲金光。可悲慧日沒西去。冥冥群萠夢更
J18_0138B32:
J18_0138B33: 水雲生絶纏。課佛念彌堅。住世纔三紀。度人幾萬
J18_0138B34: 員。東州收化去。西土得祥還。道貌無由見。會

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