浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J18_0126A01: | の衆生は。皆われよりして始まれる故。其福報つく |
J18_0126A02: | ることあることなしと。大慈菩薩の勸修西方の偈を |
J18_0126A03: | 引て云。能勸二人修。比自己精進。勸至十餘 |
J18_0126A04: | 人。福德已無量。如勸百與千。名爲眞菩薩。又能 |
J18_0126A05: | 過萬數。即是阿彌陀。唐に房翥といひし人あり。 |
J18_0126A06: | 暴に死して陰府に至り閻魔王にま見ゆ。閻王のいは |
J18_0126A07: | く。案簿によるに。君曾て一老人を勸めて念佛せし |
J18_0126A08: | む。その人既に淨土に生ぜり。君この福德に依て。 |
J18_0126A09: | 又淨土に生ずべし。故に召し來て相見ると。房翥か |
J18_0126A10: | 云。それがし先に金剛經萬卷を讀み。五臺山を巡禮 |
J18_0126A11: | せんといふ願を起して。いまだ果さず。これに依て |
J18_0126A12: | 淨土に生ぜん事を欲せずと。閻王の云。誦經と巡禮 |
J18_0126A13: | と。まことに好事なりといへども。早く淨土に生ず |
J18_0126A14: | るには如ずと。されども閻王その志の奪ふべからざ |
J18_0126A15: | る事をしりて。此界に還されけると。是を以て知る |
J18_0126A16: | べし。人を勸めて修せしむる者は。只往生を得るの |
J18_0126A17: | みにあらず。又幽冥を感動せしむることを。猶つぶ |
J18_0126B18: | さに淨土文に見えたり。 |
J18_0126B19: | 一師所所に行化せらるるといへとも。或は寺院建立 |
J18_0126B20: | の助縁なといひて。説法願ひ候所へは。一向に參ら |
J18_0126B21: | るる事なし。又本より自身の上にも。左樣なる勸化 |
J18_0126B22: | は。生涯曾てこれなし。只諸人へ念佛勸進の爲とて |
J18_0126B23: | 請せらるる方へは。いづくへも縁に任せて參られ侍 |
J18_0126B24: | りき。師の生質かく偏なる所ありしとぞ |
J18_0126B25: | 一歸依の信者の中に。或は聖境感見し。或は種種の |
J18_0126B26: | 現益なと蒙り候事。かれこれ沙汰しあへるに付て。 |
J18_0126B27: | 師申さるやう。念佛の機縁純熟して。有信の人のま |
J18_0126B28: | ま靈益を蒙るは。これしかしながら。諸人の信を勸 |
J18_0126B29: | 發せんとの。冥慮にてあるべし。全く自身の上の奇 |
J18_0126B30: | 特を衒ふにもあらず。強に世の評議を憚りて。これ |
J18_0126B31: | をつつまは。却て冥慮を覆ひ隱すにも成べしとて。 |
J18_0126B32: | 現益靈夢等のこと。誓書誓詞を以て。注進せるをは。 |
J18_0126B33: | 悉く收め置かれけり。師或時喟然としていはく。近 |
J18_0126B34: | 年緇白の中には。現益をかうふる類ひ。あまたこれあ |