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J2660 無能和尚行業記 宝洲 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J18_0127A01: る所にいかなる業障故か。自身の上には。曾てなに
J18_0127A02: の好相をも見奉らずとそ申されける。
J18_0127A03: 私に案ずるに。をよそ深信の行者。念佛の現益を感
J18_0127A04: ずる事は。世の恠力亂神の類ひにあらず。本これ佛
J18_0127A05: の大慈悲因位萬善の功德力より起りて。信者の機感
J18_0127A06: に應じて。自然に種種の利益を施し給ふ。大圓鏡に
J18_0127A07: 諸の色像を現ずるが如し。これを感應道交といふ。
J18_0127A08: 宋の通惠大師。佛法の中の恠を論じていはく。此恠正
J18_0127A09: 恠也。在人情則謂之恠。在諸聖則謂之通感
J18_0127A10: 而遂通と天台大師の觀經疏に涅槃經を引ていはく。
J18_0127A11: 我實不往慈善根力能令衆生見如斯事と。誠に賴
J18_0127A12: 母しきにあらずや。凡夫の情量を以て。これを疑ふ
J18_0127A13: べからず
J18_0127A14: 一師の念佛勸化。近年種種の奇瑞あるに付て。道俗
J18_0127A15: 男女の歸依渴仰日を逐てあさからず。よつて師の老
J18_0127A16: 漢良覺上人。對面の度ごとに。勝他名聞の心なと深
J18_0127A17: く愼まるべしと。異見を加へられしに。師かしこま
J18_0127B18: り申さるるは。それがし罪惡深重の身と覺悟いたし
J18_0127B19: 候上は。御心安かるべし。但し凡心の事に候へは。
J18_0127B20: 自然に一念萠し候とも。二念とは續ぎ申まじく存ず
J18_0127B21: るなりとぞ。答へ申されける
J18_0127B22: 一師の德香。をのづから遐邇に聞えしかは。一宗の
J18_0127B23: 高德。他門の碩匠。その風を望みて。嘉歎せらるる
J18_0127B24: 類ひ。少からず。洛陽花頂の義山上人康存の日。師
J18_0127B25: の勸化現益の事。遙かに傳へ聞給ひて。隨喜の思ひ
J18_0127B26: 淺からず。その現益集の草案を乞ひ求めて。これを
J18_0127B27: 病中に披覽し。すなはち感仰のあまり。門人を召
J18_0127B28: て。此現益集題號を近代奧羽念佛驗記と改め。板に
J18_0127B29: 鏤めて世に流行すべき旨。ねんごろに顧命し給ひけ
J18_0127B30: り。念佛勸化現益集は。前後集共に二十三册。載る
J18_0127B31: 所の奇特。惣て一千二百六十條あり。これ諸方よ
J18_0127B32: り。誓紙誓語を以て注進せるを。師一一に證明し
J18_0127B33: て。草稿のままにて納め置かれし者なり。義山上人
J18_0127B34: へ進呈せられしは。其中より僅かに數十條を抄出せ

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