浄土宗全書を検索する
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| 巻_頁段行 | 本文 |
|---|---|
| J18_0127A01: | る所にいかなる業障故か。自身の上には。曾てなに |
| J18_0127A02: | の好相をも見奉らずとそ申されける。 |
| J18_0127A03: | 私に案ずるに。をよそ深信の行者。念佛の現益を感 |
| J18_0127A04: | ずる事は。世の恠力亂神の類ひにあらず。本これ佛 |
| J18_0127A05: | の大慈悲因位萬善の功德力より起りて。信者の機感 |
| J18_0127A06: | に應じて。自然に種種の利益を施し給ふ。大圓鏡に |
| J18_0127A07: | 諸の色像を現ずるが如し。これを感應道交といふ。 |
| J18_0127A08: | 宋の通惠大師。佛法の中の恠を論じていはく。此恠正 |
| J18_0127A09: | 恠也。在人情則謂之恠。在諸聖則謂之通感 |
| J18_0127A10: | 而遂通と天台大師の觀經疏に涅槃經を引ていはく。 |
| J18_0127A11: | 我實不往慈善根力能令衆生見如斯事と。誠に賴 |
| J18_0127A12: | 母しきにあらずや。凡夫の情量を以て。これを疑ふ |
| J18_0127A13: | べからず |
| J18_0127A14: | 一師の念佛勸化。近年種種の奇瑞あるに付て。道俗 |
| J18_0127A15: | 男女の歸依渴仰日を逐てあさからず。よつて師の老 |
| J18_0127A16: | 漢良覺上人。對面の度ごとに。勝他名聞の心なと深 |
| J18_0127A17: | く愼まるべしと。異見を加へられしに。師かしこま |
| J18_0127B18: | り申さるるは。それがし罪惡深重の身と覺悟いたし |
| J18_0127B19: | 候上は。御心安かるべし。但し凡心の事に候へは。 |
| J18_0127B20: | 自然に一念萠し候とも。二念とは續ぎ申まじく存ず |
| J18_0127B21: | るなりとぞ。答へ申されける |
| J18_0127B22: | 一師の德香。をのづから遐邇に聞えしかは。一宗の |
| J18_0127B23: | 高德。他門の碩匠。その風を望みて。嘉歎せらるる |
| J18_0127B24: | 類ひ。少からず。洛陽花頂の義山上人康存の日。師 |
| J18_0127B25: | の勸化現益の事。遙かに傳へ聞給ひて。隨喜の思ひ |
| J18_0127B26: | 淺からず。その現益集の草案を乞ひ求めて。これを |
| J18_0127B27: | 病中に披覽し。すなはち感仰のあまり。門人を召 |
| J18_0127B28: | て。此現益集題號を近代奧羽念佛驗記と改め。板に |
| J18_0127B29: | 鏤めて世に流行すべき旨。ねんごろに顧命し給ひけ |
| J18_0127B30: | り。念佛勸化現益集は。前後集共に二十三册。載る |
| J18_0127B31: | 所の奇特。惣て一千二百六十條あり。これ諸方よ |
| J18_0127B32: | り。誓紙誓語を以て注進せるを。師一一に證明し |
| J18_0127B33: | て。草稿のままにて納め置かれし者なり。義山上人 |
| J18_0127B34: | へ進呈せられしは。其中より僅かに數十條を抄出せ |