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J2660 無能和尚行業記 宝洲 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J18_0117A01: 部經念佛六萬遍。伹し三部經は。日課に修せんとおもばれしかは。兼てことことく暗誦せられきとぞ
J18_0117A02: 阿彌陀經三卷念佛六萬遍。一一向專稱十萬遍。一同
J18_0117A03: 八萬遍一同七萬遍。已上六鬮右者出離生死一大事の行業
J18_0117A04: なれは。いかにも佛意を伺ひ奉りて。これを定むへ
J18_0117A05: しと。既に御鬮を持て佛前に參られけるが。不圖思
J18_0117A06: ひ出され。不足ながらも一向專稱六萬遍の聖鬮をも
J18_0117A07: 入れ申さんと。立歸りて六萬徧の御鬮を入れ。すな
J18_0117A08: はち七本の御鬮を寶前に捧げ。護念經を讀誦し。至
J18_0117A09: 心に念佛して。如來の大悲證明を請ひ奉り。目をふ
J18_0117A10: さぎ。手に信せて一鬮を取り。退きて拜見せられ
J18_0117A11: けるに。一向專稱六萬遍の聖鬮なり。時に師心大に
J18_0117A12: 不足におもひ。物體なき事ながら。凡情の淺猿さ
J18_0117A13: は。疑念なきにあらずと。重て祈請して。右七本の
J18_0117A14: 御鬮を中に投擧げ。手を出して受られしかは一本の
J18_0117A15: 御籖すなはち掌に留る。これを拜見せられしに。亦
J18_0117A16: 一向專念六萬遍の御鬮なり。いとありがたき事に思
J18_0117A17: ひ。此時信心肝に銘じ。立地に助業を省きて。一向
J18_0117B18: 稱名に結歸し。長日六萬遍の行者とぞなられ侍る。
J18_0117B19: 其後一兩年の間は。何角と障る事なとありて。六萬
J18_0117B20: 遍をだに。やうやう勤められし事度度なりき。この
J18_0117B21: 時始て佛意の御計ひ。聖鬮の由あること。身に染て貴
J18_0117B22: く覺え侍りきと其後草庵籠居以來。修しやすきま
J18_0117B23: ま。此上は數遍を增修せん事。更に佛意に違すべき
J18_0117B24: にあらずと。漸漸加增ありて。後には十萬以上を修
J18_0117B25: せられぬ。其次第下卷に載る所の一期修行畧記の如
J18_0117B26: し。師平日晝夜不臥にして。沐浴便利の外法衣を脱
J18_0117B27: がず。便利食時の外念珠を廢せず。息むなしく黈は
J18_0117B28: ず。或は名號を書し。或は稀に書籍に對せらるる折
J18_0117B29: にも。一手にはかならず念珠を放たず。口に佛號や
J18_0117B30: むことなし。もし剃髮沐浴の折には。指を屈して數を
J18_0117B31: 記す。いはんや餘の作務の時をや。常にかくありけ
J18_0117B32: れば。大樣十萬已上に及べり。嗚呼古德の厲行とい
J18_0117B33: ふも。あにこれに尚ることあらんやと覺ゆ。然して其
J18_0117B34: 課佛の相。六字を慥かに稱へて字字分明なり。一稱

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