浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J18_0116A01: | 不思議神通。不思議辯才といへり。南無阿左囉大 |
J18_0116A02: | 聖。一持之後生生加護の御利益。賴母しく貴くぞ侍 |
J18_0116A03: | る。寶永元年五月朔日。師廿二歳山崎の佛祖前に於 |
J18_0116A04: | て。誓て慾事を斷じ。梵行を固くす同七月より。日 |
J18_0116A05: | 課佛名一萬聲を誓ふ。同年八月州の磐瀨郡大栗村の |
J18_0116A06: | 阿彌陀堂にして。斷食する事七箇日。晝夜至心に念 |
J18_0116A07: | 佛して。佛の覆護を仰ぎ。信芽の增長を祈請せら |
J18_0116A08: | る。同二年山崎良通上人の輪下にして。兩脈の秘璽 |
J18_0116A09: | を禀け。興蓮社良崇と號せり。同五年十二月望日。 |
J18_0116A10: | 常坐不臥日課三萬稱をちかふ。時に廿五歳なり。翌 |
J18_0116A11: | 年五月廿六歳にして。遁世の宿志を遂られ侍る。墨 |
J18_0116A12: | の袖いとど色そひて。誠の道も淺からずやといと賴 |
J18_0116A13: | 母し。師曾て遁世の因縁を語りていはく。われ性と |
J18_0116A14: | して財欲ふかし。若世上にまじらひ。此身を立んと |
J18_0116A15: | 思はば。事にふれて。心中の悕望たゆることあるべか |
J18_0116A16: | らず。ひたすら俗念のみ深くて。心行は日夜に疎かに |
J18_0116A17: | なりもてゆかんは一定なり。しかじ非人法師の身 |
J18_0116B18: | となりて。稱名の數遍を策まんにはと。かく年ごろ |
J18_0116B19: | 思ひめぐらして。永く此世を捨侍りつるなり。全く塵 |
J18_0116B20: | 外に逍遙して。安逸を求んとにあらず。只身を輕く |
J18_0116B21: | して。世望を少くし。不急の事をさしをきて。數遍 |
J18_0116B22: | の功を積んとこひねがふ計なり。更に別の意許なし |
J18_0116B23: | とぞ申されける。淸少納言が。浦山しき物。誠に世 |
J18_0116B24: | を思ひ捨たるひじりといひけん。實にも世の中に又 |
J18_0116B25: | なくうらやましき事のかぎりとぞ覺ゆ |
J18_0116B26: | 一師剃度の後。三四年の間は。心願おほくして萬の |
J18_0116B27: | 佛菩薩神天をも念し奉り。種種の行どもを雜修せら |
J18_0116B28: | れしかども。宗門の安心熟得の後は。一切の諸願諸 |
J18_0116B29: | 行を廢して。西方の一行を唯願唯行し。正助二行の |
J18_0116B30: | 外。他事なしとぞ |
J18_0116B31: | 一師遁世の翌年仲秋朔旦。羽州最上三寶寺の佛前に |
J18_0116B32: | て聖〓を拈り。一向專稱の行者と成て後は。助業を |
J18_0116B33: | も兼ず。唯稱名正業をぞ修せられ侍る。其御〓の次第 |
J18_0116B34: | 一六時禮讃阿彌陀經六念佛卷六萬遍。一六時禮讃三 |