浄土宗全書を検索する
AND検索:複数の検索語をスペースで区切って入力すると、前後2行中にそれらを全て含む箇所を検索します。
巻_頁段行 | 本文 |
---|---|
J18_0115A01: | 無能和尚行業記上 |
J18_0115A02: | |
J18_0115A03: | 師諱は學運。字は良崇。世をのがれて後は。みづか |
J18_0115A04: | ら守一無能とぞ號せられける。世姓は矢吹氏奧州石 |
J18_0115A05: | 川郡須釜郷の人なり。天性篤實にして身を守ること |
J18_0115A06: | 醇謹に。姿容美和にして慈仁の心厚く。志節高簡に |
J18_0115A07: | して。流俗に群せず。曾て父矢吹氏。男子あまたあ |
J18_0115A08: | りければ。大木氏某に約して。養子となしぬ。然る |
J18_0115A09: | に師生年十四の春の頃より。人の勸めにもよらざり |
J18_0115A10: | しかど。歸佛の念をのづから發り。晨昏佛前に向ひ |
J18_0115A11: | て念佛し。阿彌陀經普門品など讀て。二時の念誦。 |
J18_0115A12: | 曾ておこたりなくそ侍る。然るべき宿善の内に催し |
J18_0115A13: | けるにや。幼年の昔より。何となく世相をはかな |
J18_0115A14: | み。釋氏の風儀をしたふ心のみ深くて。常には佛神 |
J18_0115A15: | にも。ひたすら出塵の身とならん事をぞ祈請せられ |
J18_0115A16: | ける。かかりければ。十六歳の春。みづから髻を剪 |
J18_0115A17: | て。まさに本意を遂んと思はれしかど。かたがた碍 |
J18_0115B18: | る事なん侍りて。其年はむなしく心の外に暮行ぬ。 |
J18_0115B19: | 翌年十七歳の春。三月十四日。伊達郡大安寺良覺上 |
J18_0115B20: | 人に投じて。遂に出家得度の素意を遂げ。淨土の章 |
J18_0115B21: | 疏を習讀せらる。天資聰敏にして。英氣秀發してぞ |
J18_0115B22: | 見え侍る。同年五月籍を州の山崎梅福山に通じて修 |
J18_0115B23: | 學せり。十八歳の秋八月羽州龜岡の文殊に參籠する |
J18_0115B24: | こと七箇日。大聖の冥助を仰ぎ。早く如實智を得て。 |
J18_0115B25: | 二利の所願を成滿せん事を祈らる。爾しより後。飯 |
J18_0115B26: | 沼壽龜山。武江三縁山など所所の敎黌にしばしば籍 |
J18_0115B27: | を移されしかども。若は學若は行。孜孜として寸陰 |
J18_0115B28: | を惜み。虚しく日を送らるる事なかりき。されば螢 |
J18_0115B29: | 雪鑚仰の扉には。竊に曩祖の蘊奧を探り。論議商量 |
J18_0115B30: | の筵には。曾て戴憑が重席を學べり。十九歳の夏。 |
J18_0115B31: | 下總國に遊學の時成田山の不動等にまうでで。七日 |
J18_0115B32: | 糓を斷じ。道學の成就をぞ祈られける。不動使者秘 |
J18_0115B33: | 密法を案ずるに。若求無上出世菩提者當淸淨梵 |
J18_0115B34: | 行一心精進。當得種種不思議三昧。不思議境界。 |