浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J18_0082A01: | て餘法を破らず。餘法を貴て餘法を用ひざる事如 |
J18_0082A02: | 何。師答て云く捨るといふと破るといふとは別な |
J18_0082A03: | り。用るといふと貴ふといふとは又別なり。佛神に就 |
J18_0082A04: | ていはば或は辨天毘沙門地藏觀音等の形像を立て朝 |
J18_0082A05: | 夕恭敬禮拜するは貴びて用るといふものなり。捨て |
J18_0082A06: | 破らずといふは縁に任せて種種の形像に向ふ時は謹 |
J18_0082A07: | て敬ひ奉り縁に任せて種種の説法を聞ことあらば謹で |
J18_0082A08: | 聽聞し奉る。形像にも向はず説法をも聞ざる時は不 |
J18_0082A09: | 足の思ひもなく求る心もなきなり。是の如くなるは |
J18_0082A10: | 敬ふて用ひざるなり。破るといふにはあらず破ると |
J18_0082A11: | いふは我こそ一向專修の行者なれとて他の佛像に向 |
J18_0082A12: | ふ時も拜せず。他の説法を聞時も敬はず。念佛の外 |
J18_0082A13: | は無益の事なりとてけがらはしき樣に思ひ蔑にする |
J18_0082A14: | は是破るなり。宗宗に立る所各各皆その理あり猥り |
J18_0082A15: | に誹るべからず。譬へば酒を嗜人は餠を嫌ふて酒 |
J18_0082A16: | こそ眞實の物なれ餠は無益の物なりといはんに下戸 |
J18_0082A17: | の人是を許さんや。又下戸の人餠を嗜て酒を嫌ひ餠 |
J18_0082B18: | こそ大利益の物なれ酒は甚だ無益の物なりといはん |
J18_0082B19: | に上戸の人是を許さんや。唯己が口腹に嗜と嗜ぬと |
J18_0082B20: | にてこそあれ無益とはいふべからず。然らば下戸の |
J18_0082B21: | 人は餠が上上の物なり。上戸の人は酒が上上の物な |
J18_0082B22: | るがごとし。念佛の行者も又是の如し雜行は我機 |
J18_0082B23: | に契はざるにてこそあれ無益とはいふべからず。雜 |
J18_0082B24: | 行も大乘甚深の妙法なれば但敬ひを作べし輕しむる |
J18_0082B25: | ことなかれ。往生の機の前には雜行に得すくなき故に |
J18_0082B26: | 取合ぬまてなり是を蔑るは大なる僻事なりと |
J18_0082B27: | ○師楞嚴維摩に熟し。敎外の玄機に徹する故に其説 |
J18_0082B28: | 法獨脱超邁にして常格に泥ず一種の古氣ありて人に |
J18_0082B29: | 迫る。師の著す所の書都て三部あり。念佛安心と諸 |
J18_0082B30: | 文領解と徒然要草と是なり。その卓識高論言外の妙 |
J18_0082B31: | 旨あり實に後學の奇珍なり |
J18_0082B32: | ○或時師の法弟洛の專念寺現住誓譽といふもの岡崎 |
J18_0082B33: | の禪室に來りて法話す。彼誓譽は師に相繼で説法に |
J18_0082B34: | 名あり時に師少少安心の違目など敎示せられしに誓 |