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J2640 厭求上人行状記 祐山 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J18_0081A01: きなりと。又恒に弟子を誡めて云く朝夕の勤行を懈
J18_0081A02: 怠すべからず。平日袈裟直綴を脱べからず。今時の
J18_0081A03: 俗にを見るに今剃の道心者をば深く敬ひ。幼年より
J18_0081A04: 出家して寺院に住職する僧をは却て敬はざる也。そ
J18_0081A05: の故は今剃の道心坊主は眞實の志あるゆへに朝夕の
J18_0081A06: 勤行も懈怠せず。假初に物を食すれども十念し回向
J18_0081A07: して食す袈裟衣をも隨分脱ずして念佛する也。寺院
J18_0081A08: に住持する僧は却て朝夕の勤行を怠り食時も無慚愧
J18_0081A09: の躰たらくなり。平日多分白衣にして。勤行及び客
J18_0081A10: 應對の外は袈裟衣をも着ず放逸なればなり。俗仁實
J18_0081A11: に眼あり慚愧すべしと
J18_0081A12: ○師或時示して云く元祖上人の詞に。煩惱の薄厚を
J18_0081A13: も顧みず罪障の輕重をも沙汰せざれといへり。惡見
J18_0081A14: の人此詞を心得違ひて顧見ざれ沙汰せざれといふを
J18_0081A15: 苦しからずといふ事なりと思ふは大ひなる誤りな
J18_0081A16: り。煩惱は惡しき物にて嫌はしければ顧みざれと仰
J18_0081A17: られたり。譬へば道のほとりに見苦しき不淨の物あ
J18_0081B18: らば目を塞ぎて二目と顧みずして通るべきがごとく
J18_0081B19: 煩惱は佛道のほとりの不淨の物なれば二目と顧みず
J18_0081B20: して早く過よといふ事なり。又罪は佛法淸淨の中に
J18_0081B21: は惡しき物にて嫌はしければ沙汰せざれと仰られ
J18_0081B22: たるなり。譬へば我身の上にあさましき惡事あらん
J18_0081B23: に人來りて念比に其事を尋ね聞ば左樣なる事は某が
J18_0081B24: 身の上の恥なればかさねて御沙汰御無用と答へん
J18_0081B25: がごとし。罪障は行者の身の上のはづかしき惡事な
J18_0081B26: れば重て沙汰も無用の事なる故に沙汰せざれと仰ら
J18_0081B27: れたり沙汰するだに嫌はしく。增して罪を作らば重
J18_0081B28: 重のあやまちなり。さればとて不圖あやまりて作り
J18_0081B29: たらん時。沙汰をだに嫌ひ給ふ罪を作りたりとて深
J18_0081B30: く歎くは即ちそれが沙汰といふものになるなり。若
J18_0081B31: あやまりて罪を造りたらん時は念をへだてず時をへ
J18_0081B32: だてず日をへだてず南無阿彌陀佛ととなへて懺悔す
J18_0081B33: べきなり是隨犯隨懺の故實なり
J18_0081B34: ○或人師に向ふて云く。一向專修の行者。餘法を捨

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