浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J18_0080A01: | して忽ち蘇生す。即ち諸人に告ていはく我只今極樂 |
J18_0080A02: | に往生し赫赫たる寶殿に上る遙に向ひの方を見渡せ |
J18_0080A03: | ば又殊に勝れたる嚴飾微妙の七寶宮殿あり我彼殿に |
J18_0080A04: | 至らんと思へども未だ進み行ことあたはず。時に一僧 |
J18_0080A05: | ありていふ汝未だ彼にいたることあたはじ。此は是中 |
J18_0080A06: | 品生彼は是上品生なり上品に生ぜんと思はば先娑婆 |
J18_0080A07: | に歸りて專修念佛すべし速に上品に轉ずと。我則ち |
J18_0080A08: | 問ふて云く上人は是何人ぞと僧の云く我は是京師の |
J18_0080A09: | 厭求なりと。我又問ふ何れの時か往生せるやと僧の |
J18_0080A10: | 云く近き頃來れりと。我歡喜して則ち其僧の十念を |
J18_0080A11: | 受たり。其後の事は覺えず然るに蘇生すること斯の |
J18_0080A12: | 如し。我曾て上人の事を知らず實とせんや不實とせ |
J18_0080A13: | んやと時に座中にこれを知るものありていふ去る六 |
J18_0080A14: | 月十一日に彼上人往生せりと。道白感涙を拭ふて云 |
J18_0080A15: | く上人の化導無縁の衆生を度す。大悲の方便不可思 |
J18_0080A16: | 議なりと是より專修念佛し晝夜をわかたず。同月十 |
J18_0080A17: | 四日に安然として大往生を遂たり |
J18_0080B18: | ○攝州有馬に立厭といふ僧あり。師の弟子なり。正 |
J18_0080B19: | 德四年四月下旬師の塔を立んと欲して上洛し法兄了 |
J18_0080B20: | 厭に就く師の剃たる髮を乞得て歡喜し有馬に歸る。 |
J18_0080B21: | 淸吟庵の尼衆師の弟子なり是を拜せん事を願ふ。大坂の宗 |
J18_0080B22: | 鑑といふものあり同庵にありて共に是を請ず。立厭 |
J18_0080B23: | 即ち需に應じて是を發くに。忽ち舍利一粒迸り出。 |
J18_0080B24: | 皆悉く驚歎して委しく探り求むるに都合舍利六粒を |
J18_0080B25: | 得たり。其形極小にして芥子のごとし。圓滿にして |
J18_0080B26: | 光明あり白き事白髮の色に似たり堅き事金剛の如 |
J18_0080B27: | し。其内三粒は立厭持し歸りて專修庵に安置す。二 |
J18_0080B28: | 粒は淸吟庵に置き。一粒は宗鑑頂戴し浪華に歸りて |
J18_0080B29: | 尊敬す。後に段段分じて多くなりしゆへ厭求庵導故 |
J18_0080B30: | 院へもわかち納めて靈寶とす |
J18_0080B31: | ○大凡師一生の行履。寺院を領ぜず灑灑落落として |
J18_0080B32: | 雲水の境界なり。常念佛を好まず建立并に奉加を堅 |
J18_0080B33: | く誡しむ。平生示していはく世の諺に奉加帳は狼も |
J18_0080B34: | いとふて逃るといふなり。仍て奉加は一向せぬがよ |