浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J18_0078A01: | れば上一形を盡より下十聲一聲に至るまで皆往生を |
J18_0078A02: | 得るなり。只念念怠らざれば自から數萬を成就す。 |
J18_0078A03: | 善導大師の三萬六萬者皆是上品上生人等の解釋これ |
J18_0078A04: | を思ふて忘るることなかれと |
J18_0078A05: | ○正德三癸酉五月三日師洛東岡崎に在り。偶禪室を |
J18_0078A06: | 出て洛に赴んとして中途より歸る。此後更に外へ出 |
J18_0078A07: | ず。念佛の暇には法話をなし或は佛を刻み繪を作こと |
J18_0078A08: | 恒の如し。同月十六日微疾あり猶念佛法話して疾を |
J18_0078A09: | 忘るるに似たり。同月廿八日師の病重し是より弟子 |
J18_0078A10: | 等驚ひて二三十人常に左右を離れず。既にして其病 |
J18_0078A11: | 快し唯不食のみ。六月四日弟子專念寺白蓮花を持來 |
J18_0078A12: | りて座前に捧ぐ師これを見て欣然たり告て云く。此 |
J18_0078A13: | 白蓮を見て淨土の金蓮を思ふ願はくは我早く不淨身 |
J18_0078A14: | を捨て金蓮に乘し速に淸淨身を得て彌陀尊に隨從し |
J18_0078A15: | 亦十方に遊化せん事命終の端的にあり曠劫の大慶何 |
J18_0078A16: | 事かこれにしかんや汝等能念佛して必ず淨土に生ず |
J18_0078A17: | べしゆめゆめ怠ることなかれと。五日説法云云。六日 |
J18_0078B18: | 常の如し髮を剃身を淨め本尊を病床に迎へ香を拈し |
J18_0078B19: | て念佛すること須臾にして恬然として睡に就。夜に入 |
J18_0078B20: | て又法話す。弟子嚴島光明院法要を問ふ師の云く淨 |
J18_0078B21: | 土に生ぜんと欲せば一向專修の但念佛可なり。然る |
J18_0078B22: | に念佛の人は多けれども修し得る人希なり所謂これ |
J18_0078B23: | を知る事の難きに非ず是を行ふことの難きなり念念に |
J18_0078B24: | 怠らず。たとひ餘事に亘るといへ共意常に念佛の上 |
J18_0078B25: | に在て須臾も忘れず是の如く念佛する人を修し得る |
J18_0078B26: | 人といふなり。修行功を積ば皆必是の如くなるべし |
J18_0078B27: | 即ち本心湛然として一切事に動ぜず念佛の功を以て |
J18_0078B28: | 自然に安樂の地に至り法界洞朗にして一切の疑橛を |
J18_0078B29: | 脱す。即發心の始より終焉の今に至るまで唯淨土に |
J18_0078B30: | 生ぜんと欲して念佛する外更に他事なし。汝等が恒 |
J18_0078B31: | に知る所なり。我敢て虚言せず病身體を侵すといへ |
J18_0078B32: | ども心常に安然たり是平生念佛の功なり小子これを |
J18_0078B33: | 知れと云云七日病稍快し弟子有馬極樂寺靈山。師の |
J18_0078B34: | 病を聞て即ち來り謁す。師の云く近く汝を見て遠く |