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J2640 厭求上人行状記 祐山 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J18_0078A01: れば上一形を盡より下十聲一聲に至るまで皆往生を
J18_0078A02: 得るなり。只念念怠らざれば自から數萬を成就す。
J18_0078A03: 善導大師の三萬六萬者皆是上品上生人等の解釋これ
J18_0078A04: を思ふて忘るることなかれと
J18_0078A05: ○正德三癸酉五月三日師洛東岡崎に在り。偶禪室を
J18_0078A06: 出て洛に赴んとして中途より歸る。此後更に外へ出
J18_0078A07: ず。念佛の暇には法話をなし或は佛を刻み繪を作こと
J18_0078A08: 恒の如し。同月十六日微疾あり猶念佛法話して疾を
J18_0078A09: 忘るるに似たり。同月廿八日師の病重し是より弟子
J18_0078A10: 等驚ひて二三十人常に左右を離れず。既にして其病
J18_0078A11: 快し唯不食のみ。六月四日弟子專念寺白蓮花を持來
J18_0078A12: りて座前に捧ぐ師これを見て欣然たり告て云く。此
J18_0078A13: 白蓮を見て淨土の金蓮を思ふ願はくは我早く不淨身
J18_0078A14: を捨て金蓮に乘し速に淸淨身を得て彌陀尊に隨從し
J18_0078A15: 亦十方に遊化せん事命終の端的にあり曠劫の大慶何
J18_0078A16: 事かこれにしかんや汝等能念佛して必ず淨土に生ず
J18_0078A17: べしゆめゆめ怠ることなかれと。五日説法云云。六日
J18_0078B18: 常の如し髮を剃身を淨め本尊を病床に迎へ香を拈し
J18_0078B19: て念佛すること須臾にして恬然として睡に就。夜に入
J18_0078B20: て又法話す。弟子嚴島光明院法要を問ふ師の云く淨
J18_0078B21: 土に生ぜんと欲せば一向專修の但念佛可なり。然る
J18_0078B22: に念佛の人は多けれども修し得る人希なり所謂これ
J18_0078B23: を知る事の難きに非ず是を行ふことの難きなり念念に
J18_0078B24: 怠らず。たとひ餘事に亘るといへ共意常に念佛の上
J18_0078B25: に在て須臾も忘れず是の如く念佛する人を修し得る
J18_0078B26: 人といふなり。修行功を積ば皆必是の如くなるべし
J18_0078B27: 即ち本心湛然として一切事に動ぜず念佛の功を以て
J18_0078B28: 自然に安樂の地に至り法界洞朗にして一切の疑橛を
J18_0078B29: 脱す。即發心の始より終焉の今に至るまで唯淨土に
J18_0078B30: 生ぜんと欲して念佛する外更に他事なし。汝等が恒
J18_0078B31: に知る所なり。我敢て虚言せず病身體を侵すといへ
J18_0078B32: ども心常に安然たり是平生念佛の功なり小子これを
J18_0078B33: 知れと云云七日病稍快し弟子有馬極樂寺靈山。師の
J18_0078B34: 病を聞て即ち來り謁す。師の云く近く汝を見て遠く

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