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J2640 厭求上人行状記 祐山 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J18_0077A01: の導師は即ち方丈に讓る。方丈良秀上人香を拈し回
J18_0077A02: 向し畢りて。先大師を拜し次に師を拜して云く再來
J18_0077A03: の導師大悲の薩埵。宿縁深厚にして能衆生を度す。
J18_0077A04: 他の及ばざる所なり我是を尊びて萬分の一を謝すと
J18_0077A05: 云ひ畢りて又拜す。師叉手して云く讃言甚だ過我を
J18_0077A06: して罪を得せしむと。云畢りて上人を拜す。滿座の
J18_0077A07: 貴賤親たり見聞して感歎せざるはなし
J18_0077A08: ○攝州勝尾寺二階堂圓光大師の舊跡念佛回向の時。
J18_0077A09: 師と本山百萬遍の光譽上人と互ひに導師を勤める。
J18_0077A10: 又件の所にて元祿の末大ひに念佛を修する事あり回
J18_0077A11: 向の導師は本山知恩院の秀道上人なり。説法の導師
J18_0077A12: は即ち師これを執行せらる。師の化導遠近に及びて
J18_0077A13: 諸人歸依渴仰すること大旱に雲霓を望むが如し
J18_0077A14: ○師老衰の後日課を增進す。多分七日に百萬返を成
J18_0077A15: 就す。或は又六日八日九日に百萬返を成就す秘して
J18_0077A16: 他に語らず弟子の輩時時師を伺ふに深更といへとも
J18_0077A17: 稱名絶ず。毎時感涙することありて發聲念佛すその由
J18_0077B18: いかんといふことを知らず
J18_0077B19: ○師或時おもむろに二三子に語りて云く。我老衰に
J18_0077B20: 迫る。日あらずしで必ず淨土に逝ん。若淨土に至りな
J18_0077B21: ば速かに自在身を得て近くは彌陀に奉事し遠くは十
J18_0077B22: 方に遊化し上諸佛を供養し下衆生を濟度せんこと豈歡
J18_0077B23: 喜せざらんや。一惑未斷の我等稱名の一行を以て報
J18_0077B24: 土へ直入する事は偏へに佛願力による。仰ひで是を
J18_0077B25: 信じ伏してこれを思ひ須臾もわすれず自然に念佛を
J18_0077B26: 增進す。予中年に一夏九旬の内に十箇の百萬返を修
J18_0077B27: せし事あり萬事を放下し晝夜不退にして始めて是を
J18_0077B28: 成就せり。今は爾らず餘事を捨ずしても七八日には
J18_0077B29: 必ず百萬返を成就す老ては睡眠薄き故に自から數萬
J18_0077B30: の功も成ずるなり。汝等常に策勵して怠ることなか
J18_0077B31: れ。然といへども多少の數を以強ちに要とすべから
J18_0077B32: ず。空しく數萬の功を積といへども邪解或は不安心
J18_0077B33: なれば淨土に生ずることを得ず念佛は一念に一度の往
J18_0077B34: 生を誓ふ本願なる故に疑ひなく深く信じて是を修す

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