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J2640 厭求上人行状記 祐山 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J18_0074A01: 間神前の參詣一日も闕ことなし諸檀度師の弟子を請
J18_0074A02: じて院主とす。師の法義を傳へて化導倍盛なり。師是
J18_0074A03: より直に九州四國に遊化し至る所念佛を弘通して大
J18_0074A04: ひに法雷を震ふ宮島光明院は師の餘風殘りて今に至
J18_0074A05: り金子十兩施入して四十八夜を賴み來るものあり
J18_0074A06: ○師又雲州に遊行して屢敎化する事あり。晩年老を
J18_0074A07: 養ふて洛東岡崎に住す。時に雲州松江城前大守綱近。
J18_0074A08: 眼病に罹りて明を失す。則ち仙石氏をして遠く師を
J18_0074A09: 迎へしむ。此仙石氏は兼てより師に歸依す。故に是
J18_0074A10: に命じて慇懃に請じていはく願はくは遠く來臨し法
J18_0074A11: 燈を挑げて我迷暗を照し給へ勞を辭することなかれ
J18_0074A12: と。師其親切の情を感じてその請を許す。不日に雲州
J18_0074A13: に至り大守に接す。大守大ひに喜びて數重恒式に超
J18_0074A14: たり。此時諸宗の知識方並に一家中の諸士悉く列座
J18_0074A15: せり大守則ち問ふていはく諸法實相とはいかなる事
J18_0074A16: ぞ委しく示し給はれと。師その時手に持たる團扇を
J18_0074A17: 左より右にめぐらし旋轉の相を作していはく諸法實
J18_0074B18: 相とはかくの如し。地獄より以上餓鬼畜生修羅人間
J18_0074B19: 天上聲聞縁覺菩薩佛の十界。輪圓平等にして差別な
J18_0074B20: し法華經に如是本末究竟等と説是なり然るに今日の
J18_0074B21: 衆生はかかる平等の内に居ながら惡業ゆへにみだり
J18_0074B22: に差別を見て自から惡道に沈みて苦しむもの也。佛
J18_0074B23: 是をあはれみ淨土に往生させしめて元の平等に復歸
J18_0074B24: させしめ玉へる也。淨土を願ふに付て凡眼の前には
J18_0074B25: しばらく淨穢生佛の隔歷あるやうなれども法體は本
J18_0074B26: 來不二平等にして實相無相也。是によりて古德の法
J18_0074B27: 語にも諸佛心内の衆生則塵塵極樂。衆生心中諸佛則
J18_0074B28: 念念彌陀。所以終日念佛而不乖無念熾然往生而不
J18_0074B29: 乖無生。凡聖各住自位而感應道交。東西不相往
J18_0074B30: 來而神遷淨域と是則ち諸法實相の念佛往生なり
J18_0074B31: と。時に滿座の道俗覺えずわつとよびて感心す。大守
J18_0074B32: は元より甚だ歡喜信受して疑雲消散し因果をわきま
J18_0074B33: へ念佛を修行せらる。府下の諸士高下押並て歸依渴
J18_0074B34: 仰して念佛に歸す。中に就て一老臣あり素より大儒

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