浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J18_0074A01: | 間神前の參詣一日も闕ことなし諸檀度師の弟子を請 |
J18_0074A02: | じて院主とす。師の法義を傳へて化導倍盛なり。師是 |
J18_0074A03: | より直に九州四國に遊化し至る所念佛を弘通して大 |
J18_0074A04: | ひに法雷を震ふ宮島光明院は師の餘風殘りて今に至 |
J18_0074A05: | り金子十兩施入して四十八夜を賴み來るものあり |
J18_0074A06: | ○師又雲州に遊行して屢敎化する事あり。晩年老を |
J18_0074A07: | 養ふて洛東岡崎に住す。時に雲州松江城前大守綱近。 |
J18_0074A08: | 眼病に罹りて明を失す。則ち仙石氏をして遠く師を |
J18_0074A09: | 迎へしむ。此仙石氏は兼てより師に歸依す。故に是 |
J18_0074A10: | に命じて慇懃に請じていはく願はくは遠く來臨し法 |
J18_0074A11: | 燈を挑げて我迷暗を照し給へ勞を辭することなかれ |
J18_0074A12: | と。師其親切の情を感じてその請を許す。不日に雲州 |
J18_0074A13: | に至り大守に接す。大守大ひに喜びて數重恒式に超 |
J18_0074A14: | たり。此時諸宗の知識方並に一家中の諸士悉く列座 |
J18_0074A15: | せり大守則ち問ふていはく諸法實相とはいかなる事 |
J18_0074A16: | ぞ委しく示し給はれと。師その時手に持たる團扇を |
J18_0074A17: | 左より右にめぐらし旋轉の相を作していはく諸法實 |
J18_0074B18: | 相とはかくの如し。地獄より以上餓鬼畜生修羅人間 |
J18_0074B19: | 天上聲聞縁覺菩薩佛の十界。輪圓平等にして差別な |
J18_0074B20: | し法華經に如是本末究竟等と説是なり然るに今日の |
J18_0074B21: | 衆生はかかる平等の内に居ながら惡業ゆへにみだり |
J18_0074B22: | に差別を見て自から惡道に沈みて苦しむもの也。佛 |
J18_0074B23: | 是をあはれみ淨土に往生させしめて元の平等に復歸 |
J18_0074B24: | させしめ玉へる也。淨土を願ふに付て凡眼の前には |
J18_0074B25: | しばらく淨穢生佛の隔歷あるやうなれども法體は本 |
J18_0074B26: | 來不二平等にして實相無相也。是によりて古德の法 |
J18_0074B27: | 語にも諸佛心内の衆生則塵塵極樂。衆生心中諸佛則 |
J18_0074B28: | 念念彌陀。所以終日念佛而不乖無念熾然往生而不 |
J18_0074B29: | 乖無生。凡聖各住自位而感應道交。東西不相往 |
J18_0074B30: | 來而神遷淨域と是則ち諸法實相の念佛往生なり |
J18_0074B31: | と。時に滿座の道俗覺えずわつとよびて感心す。大守 |
J18_0074B32: | は元より甚だ歡喜信受して疑雲消散し因果をわきま |
J18_0074B33: | へ念佛を修行せらる。府下の諸士高下押並て歸依渴 |
J18_0074B34: | 仰して念佛に歸す。中に就て一老臣あり素より大儒 |