浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J18_0070A01: | 思議の義なり。諸法一一に實相なり一一に妙法なり |
J18_0070A02: | 念佛往生も即ち是實相なり。又妙法なり。物を打は實 |
J18_0070A03: | 相の因なり音を出すは實相の果なり。磬を打ば磬の |
J18_0070A04: | 音を出す餘の音にあらず。皷を打ば皷の音を出す笛 |
J18_0070A05: | の音にあらず。一切是の如く善因善果惡因惡果衆生 |
J18_0070A06: | の作業一切善惡亦復實相なり。諸法一一法位を失せ |
J18_0070A07: | ず其法位に住してそのまま實相なり故に法華經に是 |
J18_0070A08: | 法住法位世間相常住といふ。是の如き諸法唯一實相 |
J18_0070A09: | にして差別なく佛界衆生界平等一心なり唯作業によ |
J18_0070A10: | つて其果を發現す。果報儼然として即ち十界あり作 |
J18_0070A11: | 業無量なれば果も又無量なり故に楞嚴に循業發現と |
J18_0070A12: | いふ其業報や分別思議の及ぶ所にあらず。故に無量 |
J18_0070A13: | 壽經に云く衆生行業果報不可思議諸佛世界亦是不可 |
J18_0070A14: | 思議と云云。念佛往生も又是の如し分別すべからず |
J18_0070A15: | 思議すべからず唯信じて念佛を修するは物を打が如 |
J18_0070A16: | し是實相の因なり淨土に往生するは音を出すが如し |
J18_0070A17: | 是實相の果なり。千人念佛を修すれば千人往生し。萬 |
J18_0070B18: | 人念佛を修すれば萬人往生す皷を打ば則ち音出るが |
J18_0070B19: | ごとく永く相違なし少しも疑ふべきにあらず。然る |
J18_0070B20: | に世上の人人世間の事においては妄りに信じて疑は |
J18_0070B21: | ず念佛往生におゐては多く疑ふて信ぜず。吁世人薄 |
J18_0070B22: | 俗にして玆に不急の事を諍ひ日夜忩忩として唯世務 |
J18_0070B23: | を營むのみ。無常の殺鬼俄にいたりなばいかがせん |
J18_0070B24: | や僧俗共に斯の如し未だ眞實に後世を思はざるな |
J18_0070B25: | り。或は本願念佛往生の理を信ずといへども手を下 |
J18_0070B26: | して身に行はず大經に易往而無人と説給ふは寔にそ |
J18_0070B27: | れ宜なり。その本願といふは無量壽經にいはく設 |
J18_0070B28: | 我得佛十方衆生至心信樂欲生我國乃至十念若不生者 |
J18_0070B29: | 不取正覺と云云是のごとく誓ひ給ふて其願既に成就 |
J18_0070B30: | し今現に阿彌陀と成りて安住し給へり。若念佛の行 |
J18_0070B31: | 者淨土に往生すること能はざる時は此本願破れ畢るな |
J18_0070B32: | り本願若破れば正覺も破るるなり。正覺若破れば阿 |
J18_0070B33: | 彌陀は却りて凡夫と成り給ふべし十方佛土の中に一 |
J18_0070B34: | 度成覺の佛再び退轉して凡夫と成るものなし。故に |