ウィンドウを閉じる

J2640 厭求上人行状記 祐山 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J18_0070A01: 思議の義なり。諸法一一に實相なり一一に妙法なり
J18_0070A02: 念佛往生も即ち是實相なり。又妙法なり。物を打は實
J18_0070A03: 相の因なり音を出すは實相の果なり。磬を打ば磬の
J18_0070A04: 音を出す餘の音にあらず。皷を打ば皷の音を出す笛
J18_0070A05: の音にあらず。一切是の如く善因善果惡因惡果衆生
J18_0070A06: の作業一切善惡亦復實相なり。諸法一一法位を失せ
J18_0070A07: ず其法位に住してそのまま實相なり故に法華經に是
J18_0070A08: 法住法位世間相常住といふ。是の如き諸法唯一實相
J18_0070A09: にして差別なく佛界衆生界平等一心なり唯作業によ
J18_0070A10: つて其果を發現す。果報儼然として即ち十界あり作
J18_0070A11: 業無量なれば果も又無量なり故に楞嚴に循業發現と
J18_0070A12: いふ其業報や分別思議の及ぶ所にあらず。故に無量
J18_0070A13: 壽經に云く衆生行業果報不可思議諸佛世界亦是不可
J18_0070A14: 思議と云云。念佛往生も又是の如し分別すべからず
J18_0070A15: 思議すべからず唯信じて念佛を修するは物を打が如
J18_0070A16: し是實相の因なり淨土に往生するは音を出すが如し
J18_0070A17: 是實相の果なり。千人念佛を修すれば千人往生し。萬
J18_0070B18: 人念佛を修すれば萬人往生す皷を打ば則ち音出るが
J18_0070B19: ごとく永く相違なし少しも疑ふべきにあらず。然る
J18_0070B20: に世上の人人世間の事においては妄りに信じて疑は
J18_0070B21: ず念佛往生におゐては多く疑ふて信ぜず。吁世人薄
J18_0070B22: 俗にして玆に不急の事を諍ひ日夜忩忩として唯世務
J18_0070B23: を營むのみ。無常の殺鬼俄にいたりなばいかがせん
J18_0070B24: や僧俗共に斯の如し未だ眞實に後世を思はざるな
J18_0070B25: り。或は本願念佛往生の理を信ずといへども手を下
J18_0070B26: して身に行はず大經に易往而無人と説給ふは寔にそ
J18_0070B27: れ宜なり。その本願といふは無量壽經にいはく設
J18_0070B28: 我得佛十方衆生至心信樂欲生我國乃至十念若不生者
J18_0070B29: 不取正覺と云云是のごとく誓ひ給ふて其願既に成就
J18_0070B30: し今現に阿彌陀と成りて安住し給へり。若念佛の行
J18_0070B31: 者淨土に往生すること能はざる時は此本願破れ畢るな
J18_0070B32: り本願若破れば正覺も破るるなり。正覺若破れば阿
J18_0070B33: 彌陀は却りて凡夫と成り給ふべし十方佛土の中に一
J18_0070B34: 度成覺の佛再び退轉して凡夫と成るものなし。故に

ウィンドウを閉じる