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J2640 厭求上人行状記 祐山 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J18_0069A01: へ易し。當今出離生死の要法は唯彌陀の本願に乘じ
J18_0069A02: て念佛往生するにあるのみ念佛は是佛の本願なり仍
J18_0069A03: て念佛をするものは决して順次に往生す。餘行は然
J18_0069A04: らず本願に非るが故なり。淨土に生せんと欲するも
J18_0069A05: のは智愚を論ぜず持破をえらばず男女を隔てず善惡
J18_0069A06: をとはず。唯本願を信じて常に名號をとなふれば一
J18_0069A07: 惑未斷の凡夫といへ共速に淨土に往生す。淨土は是
J18_0069A08: 報身報土なり化身化土に非ず分別思議の及ばざる所
J18_0069A09: 唯仰ひで信ずべきのみ。此念佛は本願なるが故に往
J18_0069A10: 生を得るの法に必定せり。我是のごとくいふといへ
J18_0069A11: 共我又いかなる由ある事をしらず。唯我知らざるの
J18_0069A12: みにあらず十方諸佛も又是を知り給はず故に是を讃
J18_0069A13: 歎して不可思議功德とのみいふことを得たり。火は
J18_0069A14: 自然にあつく水は自然に凉しその由を知らず。念佛
J18_0069A15: も又自然に往生すその由を知らず此故に往生を得ん
J18_0069A16: と欲せば但信じてこれを修せよ毫髮ばかりも疑ふべ
J18_0069A17: からす。法華經に諸法實相の旨を述。その諸法に十如
J18_0069B18: 是を以て具にこれを説。故に十界因果の諸法なり即
J18_0069B19: ち實相の因實相の果なるが故に十界の業果皆是實相
J18_0069B20: なれば衆生の善惡一毫も失せず凡夫の作業大小共に
J18_0069B21: 違はず其業因のごとくその果報を得。譬へ物を打ば
J18_0069B22: 其音出るが如し大ひに打ば大音あり少く打ば小音あ
J18_0069B23: り即ち是實相打に隨ふて音を出す毫釐も違はず法界
J18_0069B24: の心性即ち音と成りて出。我等が心性全く他物にあ
J18_0069B25: らず。同一法性。業に循ふて變現す地獄天宮森羅萬像
J18_0069B26: 十界依正亦復是の如し故に諸法といふ即ち實相也古
J18_0069B27: 人或は實相は無相なり諸法を泯絶して一物もなき眞
J18_0069B28: 理を指といふは然らず。實とは眞實にして虚妄なら
J18_0069B29: ざる義なり。相とは相狀にして名名の法相を顯はす。
J18_0069B30: 事は事のごとく諸法の相狀なり理は理のごとく但理
J18_0069B31: 空理一理圓理等の相狀なり今は圓理をいふしかも其
J18_0069B32: 法のごとくこれを顯はして分つべきこれを相といふ
J18_0069B33: なり。然るに是の如き實相の因果の諸法又分別思議
J18_0069B34: の及ぶべき所にあらず故に妙法といふ。妙は是不可

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