浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J18_0068A01: | と。涙雨衣を沾し至誠外にあらはる師其志を感じ。 |
J18_0068A02: | 問に隨て解釋す。問難往復數番にして彼が疑滯渙然 |
J18_0068A03: | として氷のごとく解たり。始めて他力にもとづき深 |
J18_0068A04: | く本願を信じ安心决定して一向稱名す。師此に留る |
J18_0068A05: | こと一七日其間日日説法す老若男女晝夜市を成して |
J18_0068A06: | 信伏歸敬し念佛者と成る。歳を經て勇大念佛功積り |
J18_0068A07: | 臨終正念と佛迎を感じて大往生を遂たり。勇大曾て |
J18_0068A08: | 扶桑往生傳二卷を編集して梓行せり今現に流行す |
J18_0068A09: | ○師是より羽黑山に上らんとす。彼山の麓に所の名を峠と云 |
J18_0068A10: | 念佛の道塲あり。師の弟子蓮休此道塲にありて大衆 |
J18_0068A11: | を引率して師を迎へ請ず。師即ち寺に入る諸人招ざ |
J18_0068A12: | るに門前に來りて群を成す。仍て滯留勸化する事五 |
J18_0068A13: | 日信伏歸敬して念佛するもの數千人なり。又是より |
J18_0068A14: | 先月山の別當代和合院より一僧を遣し蓮休に告て云 |
J18_0068A15: | く遙に聞厭求老師其地に來臨ありと未だ實否を知ら |
J18_0068A16: | ず若彌實ならば速に我に告知らしめよと。是に依て |
J18_0068A17: | 蓮休使を馳て今般老師來臨の事を報ず。寺と同山と相去ること二里餘和 |
J18_0068B18: | 合院大ひに悅びて師を召請す。師則ち彼に至る。和合 |
J18_0068B19: | 院深く敬ふて弟子の禮を取慇懃に給仕す。大衆を大 |
J18_0068B20: | 坊に集會せしめ中央に大高座を構へ謹で師の説法を |
J18_0068B21: | 乞ふ。師固辭して應ぜず。和合院の云く願はくは師堅 |
J18_0068B22: | く辭する事なかれ我昔日江州飯道寺の學寮にありて |
J18_0068B23: | 上洛の序に師の説法を聞て發心念佛す。師を拜せん |
J18_0068B24: | と欲すること久しけれども寺勢紛冗にして閑暇を得ず |
J18_0068B25: | 今日幸に志願を遂たり。我は是師の弟子なり此大衆 |
J18_0068B26: | は則ち我門下なり。夫當山は專ら修驗を以て今日の |
J18_0068B27: | 要務とす當來の資糧自から疎略なり。出離生死の道 |
J18_0068B28: | を知らず。大導師願はくは出離の要法を示して愚迷 |
J18_0068B29: | を敎化し給へと大衆も又共に懇請す。爰に於て師衆 |
J18_0068B30: | 情に應じて高座に陞り大衆に告て云く。和合院は當 |
J18_0068B31: | 時の學匠台敎に通達し兼て餘敎に亘る道心堅固にし |
J18_0068B32: | て西方を期す何ぞ我敎示を待ん。然れは座中初學の |
J18_0068B33: | 衆の爲に予が存念を語るべし。凡そ成佛は得がたく |
J18_0068B34: | 都率には生じがたし。極樂へは生じ易く念佛はとな |