浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J18_0067A01: | 惡を擇ばず是を信じ是を修すれば安心の地に至り大 |
J18_0067A02: | 安樂を得。智者はこれを知る愚者は知らず。是を謗り |
J18_0067A03: | 是をあざける唯糟粕を食ふて徒に空病を生ず。眼は |
J18_0067A04: | 盲の如く諸法を見ず。耳は聾者に似て妙法を聞ず。意は |
J18_0067A05: | 井蛙の如く僅に胸中方寸の地を知りて未だ法界心性 |
J18_0067A06: | の大海を伺はず。形は佛家に在て心は邪見に墮し自 |
J18_0067A07: | 他共に損ず憐れむべし悲しむべし。是の如きの愚人 |
J18_0067A08: | は循業發現して當來定めて熱鐵丸を呑日あらん。即 |
J18_0067A09: | ち是他作にあらず是心是地獄是心獄人なり擬議する |
J18_0067A10: | 事なかれと。時に別傳和尚舌を吐て云く一別以來未 |
J18_0067A11: | だ久しからず何ぞ徹透することの玆に至れるや。今日 |
J18_0067A12: | 始めて知る市中の猛虎又頭角を生ずることをと。則ち |
J18_0067A13: | 大衆をして各各師を拜せしむ。又隨て稱歎して云く |
J18_0067A14: | 厭長老は淨土の大導師兼て又禪を得たり。實に是自 |
J18_0067A15: | 然悟道の人直に萬重の關を透りて靑霄裡にも留らざ |
J18_0067A16: | るの漢にして即ち我法弟なりと。別傳和尚は惠林禪 |
J18_0067A17: | 師の法嗣なり昔年黄檗に在りし日。師と共に法話す。 |
J18_0067B18: | 故に一別以來の詞あり。師の禪林諸大宗師の爲に稱 |
J18_0067B19: | 譽せらるる事是の如し |
J18_0067B20: | ○或時羽州湯殿山に登る。驛次羽州山形邑の裡に草 |
J18_0067B21: | 苅氏入道勇大と云者あり。元江戸に在て儒醫たり老 |
J18_0067B22: | 後に發心出家し山形に幽栖す。遠く師の名を聞上洛 |
J18_0067B23: | して師の所在を探り求む。人告ていはく師は湯殿山 |
J18_0067B24: | に登らんと欲して今江戸にあり不日に其地に至るべ |
J18_0067B25: | しと。勇大聞得て且泣且喜び晝夜を分たずして山形 |
J18_0067B26: | に歸り。人を道に出し師の來るを伺はしむ。往來の |
J18_0067B27: | 僧を見て日日尋問す。一日師果して至る。勇大甚だ |
J18_0067B28: | 歡喜し地に拜伏しく暫らく此處に留らん事を乞ふ。 |
J18_0067B29: | 師即ち室に入りて其故を問ふ。勇大答へていはく予 |
J18_0067B30: | 始は儒道を學び中比は禪に參じ後には念佛を修す。 |
J18_0067B31: | 然るに佛書を披けば經經異説し諸師の義立解釋多端 |
J18_0067B32: | なり仍て今大疑團を生ず。明師に謁して此疑團を打 |
J18_0067B33: | 破せんと欲すれども未だ其人にあはず。まさに此生 |
J18_0067B34: | を誤らんとす。願はくは師慈を垂て我を救濟せよ |