浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J18_0066A01: | 日師洛より攝州有馬の溫泉に浴するの因。故人丹州 |
J18_0066A02: | の大舟別傳和尚を訪ふて法話す。師の弟子に得法の |
J18_0066A03: | 者一人あり。是別傳和尚の知る所の者なり。和尚の |
J18_0066A04: | 語。彼に及ぶ。師の云く彼實に未だ得ず。纔に所得 |
J18_0066A05: | ある時は則ち不可なり。故に古人いふ直に萬重の關 |
J18_0066A06: | を透りて靑宵裡にも留らずと。彼此意を會得せず。悟 |
J18_0066A07: | 了同未悟無心亦無法の地に至らず。胸中に一物ある |
J18_0066A08: | を以て我常に呵責して許さずと。別傳和尚聞て點頭 |
J18_0066A09: | す。又別傳和尚。觀經の是心是佛是心作佛の意を談じ |
J18_0066A10: | て云云す。師是をうけがはず。和尚の云く爾らば師 |
J18_0066A11: | の意いかんと。師答へていはく淨敎の意は理を以て |
J18_0066A12: | これを説ず。則ち事の想心を指て是心等といふなり |
J18_0066A13: | 理心を指て是心等といふに非ずと。和尚の云く若禪 |
J18_0066A14: | を以て是を談ぜばいかんと。師の云く若我これを談 |
J18_0066A15: | ぜば永く和尚に異なり。それ一心是萬法なれば十方 |
J18_0066A16: | 淨土現前にして他にあらず即ち是心是佛なり。萬法 |
J18_0066A17: | 是一心なれば事想心等豈心外とせんや即ち是心作佛 |
J18_0066B18: | なり一法の他物を見ずして當相即是の本分なり。唯 |
J18_0066B19: | 淨土のみにあらず十方の穢土地獄鬼畜等亦復是心な |
J18_0066B20: | り他作といふことなかれ。本心空寂にして一法の定相 |
J18_0066B21: | なし不可思議の心既に定相なき故に空といひ淸淨と |
J18_0066B22: | いふ唯業に循ふて發現するのみ。妄りに分別を生ず |
J18_0066B23: | ることなかれ。若一念誤り畢らば野狐心に墮すべし。心 |
J18_0066B24: | 理但空と執じて妄りに因果を撥することなかれ。又因 |
J18_0066B25: | 果に耽著して小乘の見に墮することなかれ。元來生死 |
J18_0066B26: | なし妄りに生死を執ずる故に生死無窮なり。佛は是 |
J18_0066B27: | 生死の長なり我は是生死の凡夫なり。佛即ち本願を |
J18_0066B28: | 立つ我即ち他力を信ず。凡夫本願に乘じて速に淨土 |
J18_0066B29: | に生ずるは不可思議の法即ち是心作佛循業發現なり |
J18_0066B30: | 若此意を得ば大安樂を得て事理を論ぜす心に内外な |
J18_0066B31: | し。生死海に在て大自在を得て正に始めて風流の野 |
J18_0066B32: | 狐なることをしることあるべし。祖師の手段學者をし |
J18_0066B33: | て安心の地に至らしめんと欲するの外他事なし。諸 |
J18_0066B34: | 佛の方便我念佛の法亦復是の如し。智愚を論ぜす善 |