ウィンドウを閉じる

J2640 厭求上人行状記 祐山 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J18_0066A01: 日師洛より攝州有馬の溫泉に浴するの因。故人丹州
J18_0066A02: の大舟別傳和尚を訪ふて法話す。師の弟子に得法の
J18_0066A03: 者一人あり。是別傳和尚の知る所の者なり。和尚の
J18_0066A04: 語。彼に及ぶ。師の云く彼實に未だ得ず。纔に所得
J18_0066A05: ある時は則ち不可なり。故に古人いふ直に萬重の關
J18_0066A06: を透りて靑宵裡にも留らずと。彼此意を會得せず。悟
J18_0066A07: 了同未悟無心亦無法の地に至らず。胸中に一物ある
J18_0066A08: を以て我常に呵責して許さずと。別傳和尚聞て點頭
J18_0066A09: す。又別傳和尚。觀經の是心是佛是心作佛の意を談じ
J18_0066A10: て云云す。師是をうけがはず。和尚の云く爾らば師
J18_0066A11: の意いかんと。師答へていはく淨敎の意は理を以て
J18_0066A12: これを説ず。則ち事の想心を指て是心等といふなり
J18_0066A13: 理心を指て是心等といふに非ずと。和尚の云く若禪
J18_0066A14: を以て是を談ぜばいかんと。師の云く若我これを談
J18_0066A15: ぜば永く和尚に異なり。それ一心是萬法なれば十方
J18_0066A16: 淨土現前にして他にあらず即ち是心是佛なり。萬法
J18_0066A17: 是一心なれば事想心等豈心外とせんや即ち是心作佛
J18_0066B18: なり一法の他物を見ずして當相即是の本分なり。唯
J18_0066B19: 淨土のみにあらず十方の穢土地獄鬼畜等亦復是心な
J18_0066B20: り他作といふことなかれ。本心空寂にして一法の定相
J18_0066B21: なし不可思議の心既に定相なき故に空といひ淸淨と
J18_0066B22: いふ唯業に循ふて發現するのみ。妄りに分別を生ず
J18_0066B23: ることなかれ。若一念誤り畢らば野狐心に墮すべし。心
J18_0066B24: 理但空と執じて妄りに因果を撥することなかれ。又因
J18_0066B25: 果に耽著して小乘の見に墮することなかれ。元來生死
J18_0066B26: なし妄りに生死を執ずる故に生死無窮なり。佛は是
J18_0066B27: 生死の長なり我は是生死の凡夫なり。佛即ち本願を
J18_0066B28: 立つ我即ち他力を信ず。凡夫本願に乘じて速に淨土
J18_0066B29: に生ずるは不可思議の法即ち是心作佛循業發現なり
J18_0066B30: 若此意を得ば大安樂を得て事理を論ぜす心に内外な
J18_0066B31: し。生死海に在て大自在を得て正に始めて風流の野
J18_0066B32: 狐なることをしることあるべし。祖師の手段學者をし
J18_0066B33: て安心の地に至らしめんと欲するの外他事なし。諸
J18_0066B34: 佛の方便我念佛の法亦復是の如し。智愚を論ぜす善

ウィンドウを閉じる