浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J18_0064A01: | の名を取らんとおもふのみ故に結衆を敬はず却りて |
J18_0064A02: | 誹謗するなり。是他なし僧俗共に不信心なる故な |
J18_0064A03: | り。若僧俗共に志を同ふして信心に修行せば大善根 |
J18_0064A04: | と成りて必ず往生の業を成す。然るに初は僧俗共に |
J18_0064A05: | 信心ありてこれを修すといへども後多く退屈して名 |
J18_0064A06: | 利の穴に落入る。是の如き人何に因てか生死を出べ |
J18_0064A07: | きや。是故にわれ是を好まず。恒に是を誡むるの |
J18_0064A08: | み。長行を修せんよりは頭陀を行じて草庵に念佛せ |
J18_0064A09: | んにはしかじ。又今時世上に祠堂金と號して金子百 |
J18_0064A10: | 兩貳百兩を施主家より寺院へ施入す。寺院より是を |
J18_0064A11: | 豐饒なる人に預け置。其利息銀を以て常行念佛を執 |
J18_0064A12: | 行する事多し。是甚だ宜しからざる事なり。大凡浮 |
J18_0064A13: | 世の習ひ盛者必衰にして永代豐饒を保つものなし。 |
J18_0064A14: | 其家衰ふるに至りては其預りし祠堂金を返すことあ |
J18_0064A15: | たはず。然る時は盜佛物の大罪を得るなり。又其財 |
J18_0064A16: | 物散失するに及びては常行念佛も退轉す。仍て檀家 |
J18_0064A17: | より施金を受取永代常行念佛退轉有まじなどど誓約 |
J18_0064B18: | すべからず甚だ不心得なる事なり。唯追善などの志 |
J18_0064B19: | あらば金子百兩或は貳百兩。檀家より請取置。此金子 |
J18_0064B20: | にて毎年四十八夜念佛を五度十度但し金拾兩を以四十八夜一度の料物とす執 |
J18_0064B21: | 行し其金子皆盡るを期として惣回向を修行すべし。 |
J18_0064B22: | 檀家も又此意を得て施入する事肝要なりと |
J18_0064B23: | ○師常に勸むる所は深く厭欣を起し。他力本願を信 |
J18_0064B24: | じ口常に佛名をとなへて疑ひなく往生をまつ是を要 |
J18_0064B25: | とす。日課の員數は己が分に隨ひ十返百返より五萬 |
J18_0064B26: | 六萬乃至十萬に至る。又時は一時二時より六時等に |
J18_0064B27: | 至る唯人をして念佛せしむるを以て要とす。日課を |
J18_0064B28: | 授るものには血脉を與へて結縁す。凡そ日課を授與 |
J18_0064B29: | するもの數十萬人なり |
J18_0064B30: | ○或時師洛より勢州に往んと欲す。因に故醍醐亞相 |
J18_0064B31: | の母堂後水尾法皇の連枝にして一條前攝政殿下の室なり實照院の請によりて念佛 |
J18_0064B32: | 安心の法語一卷を述し弟子雲竹に命じて淸書せしめ |
J18_0064B33: | 以て是を進呈す。時に雲竹密に二通を寫し一通をば |
J18_0064B34: | 深く藏して家寶とす。數年を經て後是を知る者あり |