浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J18_0063A01: | 師答へていはく再興は諸檀の力にあり予は唯法施を |
J18_0063A02: | 以て是を助けんのみ。寺主は外に求めよ我は决して |
J18_0063A03: | 領掌せすと。爰に於て諸檀歡喜して退き相議して師 |
J18_0063A04: | の弟子誓譽をして寺主たらしむ。師則ち瓧礫場に坐 |
J18_0063A05: | して大法輪を轉ず。貴賤市を成して法義を信受し貨 |
J18_0063A06: | 財を寄捨し幾ならずして堂宇を造立す。是の如きの |
J18_0063A07: | 興隆唯一二のみにあらず。勢州中萬邑弘道寺も師の |
J18_0063A08: | 中興する所なり。遠州荒井の念佛寺攝州芥川の萬福 |
J18_0063A09: | 寺。洛北梅が畑の導故院等悉く師の中興せし道塲な |
J18_0063A10: | り。然るに皆是師の素意に非ず。或は止ことを得ずし |
J18_0063A11: | てこれを成し。或は時の勢に乘じて自然に功をなす |
J18_0063A12: | ものなり |
J18_0063A13: | ○師は常に建立を好まず又常行念佛を嫌へり。平日 |
J18_0063A14: | 徒に示して云く建立は大善功德なりといへ共種種の |
J18_0063A15: | 煩ひあり猥りに是を作べからず。是を作ば多く魔の |
J18_0063A16: | 媒と成る。自然に貪欲を增し富家に對して媚を成 |
J18_0063A17: | す。或は早く成就せしめんと欲するに工匠我意に任 |
J18_0063B18: | せざれば覺えず瞋恚を生ず。財ある者は財あるに就 |
J18_0063B19: | て名聞を愛して往生の大利を障ふ。財なき者は財な |
J18_0063B20: | きに就き利養を貪りて後世の大事を失ふ。口に念佛 |
J18_0063B21: | を修すといへども。心名利に走りて自然に本心を亡 |
J18_0063B22: | 失し永く往生を妨く。若爾らざる人は十が中に一人 |
J18_0063B23: | 或は百が中に五三人のみ。若それ上に利根道心堅固 |
J18_0063B24: | の人は恒に建立を成といへども功德を增進して速に |
J18_0063B25: | 往生を得べし。其餘はいまた必すしも然らず。唯念 |
J18_0063B26: | 佛して速に往生を遂べきにはしかず。若已ことを得ず |
J18_0063B27: | して建立を作ことあらば仰いで佛力を念じ深く厭欣心 |
J18_0063B28: | を起し。恒に念佛して是を作べし。但衆人の功によ |
J18_0063B29: | りて成るべき時を待べし。若是の如くならずんば必 |
J18_0063B30: | ず是を止べし。又常念佛は必ず好むべからず。その |
J18_0063B31: | 故は結衆信心なれば善事なり若不信心なれば惡事た |
J18_0063B32: | り。晝夜の念佛は必ず退屈の心を生じて曾て後世を |
J18_0063B33: | 念はず。世上の産業の如く成りて恒に貪瞋を起し意 |
J18_0063B34: | 名利に走る。檀家も又爾り多分は是名聞にして善人 |