浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J18_0058A01: | 導師とす。師に投じて出家するもの男女老少數百人 |
J18_0058A02: | なり。濃州大垣領庭田の圓滿寺も師を以て中興とす |
J18_0058A03: | 彼地に師の畵く所の吉水大師の尊影あり |
J18_0058A04: | ○師或時攝州鮎川に在て楞嚴維摩を披閲す。〓聲を |
J18_0058A05: | 聞て忽然として省悟あり。是より知解奮發す。深文 |
J18_0058A06: | 奧義竹を破がごとく七通八達ならずといふことなし。 |
J18_0058A07: | 長水法安と并せ案ずべし |
J18_0058A08: | ○大凡師の性たるや度量廣大にして風韻凡ならず質 |
J18_0058A09: | 直無欲。孝順慈愛天然なり。唯今日ある事を知つて明 |
J18_0058A10: | 日を期せず都て物を蓄へず又悋惜なし得るに隨ひて |
J18_0058A11: | 是を施す。直言にして佞曲ならす人情に乖くに似た |
J18_0058A12: | り。他人の苦しみあるを見聞しては己が事の如くす |
J18_0058A13: | 禽獸といへども又然り。德ありて莊ならず柔和にし |
J18_0058A14: | て瞋る事なし。衆を愛して閑を好み人に對して世事 |
J18_0058A15: | を語らず。常に世智の者を誡めて云く人間の貧富は |
J18_0058A16: | 過去の宿業による世人是を知らずみだりに貧を厭ひ |
J18_0058A17: | 富を願ひ非分に貪り求む。然るに若貧窮の報を受べき |
J18_0058B18: | 人はたとひ財寶を積て自から守るといへども種種の |
J18_0058B19: | 災難來りて貧人と成る又福報有人はたとひ貧家に生 |
J18_0058B20: | るといへ共自然に財寶充溢して豐饒自在なり。因て |
J18_0058B21: | みだりに寶を求る事なかれ若又寶あらばみだりに惜 |
J18_0058B22: | むことなかれ。皆是法界の物なり以て法界に任すべ |
J18_0058B23: | し。又たとひ財寶を盜るることありとも強て歎くことな |
J18_0058B24: | かれ己に福分あれば財寶去ても又來る。己に貧分あ |
J18_0058B25: | るときはたまたま得ても是を失ふ三世因果决定の |
J18_0058B26: | 報。業に循ふて發現す努力疑ふことなかれ。但俗は念 |
J18_0058B27: | 佛の暇に世務を營むべし僧は常に念佛して世事を思 |
J18_0058B28: | ふことなかれと。師京都にありし時しばしば大雲院に |
J18_0058B29: | て説法す法雨等しく沾ふて信芽を增長せざるものな |
J18_0058B30: | し |
J18_0058B31: | ○萬治二年己亥老母に隨ふて攝州有馬の溫泉に浴す |
J18_0058B32: | るの序。請を得て極樂寺に説法すること一七日。貴賤 |
J18_0058B33: | 歡喜し遠近感動して未曾有なりと稱す。時に寺主榮 |
J18_0058B34: | 譽。老に至りて弟子の繼席すべき者なし。師をして |