浄土宗全書を検索する
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| 巻_頁段行 | 本文 |
|---|---|
| J17_0775A01: | 紫色圓滿の佛舍利一顆あり。その厨子は未敷蓮な |
| J17_0775A02: | り。その蓮のくきには釋迦藥師地藏觀音文珠の像 |
| J17_0775A03: | これは春日四所明神ならびに若宮の本地也および彌陀如來の像を彫刻せり。こ |
| J17_0775A04: | れはもと俊乘坊重源年來の所持なりしに。寶殿にお |
| J17_0775A05: | さめをきたまへるものなり。その後ある人ひそかに |
| J17_0775A06: | 是を取いだしなにかしか許にゆき。質物として金子 |
| J17_0775A07: | を借やうせり。其券契の期すくれどもこれをつくな |
| J17_0775A08: | ふことあたはず。かなしいかな無上の靈寶むなしく |
| J17_0775A09: | 不信者の手におちぬ。今もしなんぢこの金子をつく |
| J17_0775A10: | のひなばこの舍利を得んこと必せり。いかがのぞみ |
| J17_0775A11: | なきやとありしに。淨慶ななめならずよろこび同所 |
| J17_0775A12: | 結行庵の主をその僧にそへて南都につかはし是をあ |
| J17_0775A13: | がなひ得て歸りければ。淨慶歡喜にたへず。頓て師 |
| J17_0775A14: | の禪室におくりたてまつる。師もまたふかく敬信し |
| J17_0775A15: | たまへり。風雲際會不測のゐんゑんといつつべし。 |
| J17_0775A16: | いま現に光明院の靈貨たり。 |
| J17_0775A17: | ○師の在世に附弟宣流。ひそかに佛工をして師の肖 |
| J17_0775B18: | 像を彫造せしむ。その像の面貌まつたく師に似ざり |
| J17_0775B19: | ければ。流公も本意なき事になんおもへり。しかる |
| J17_0775B20: | に今師の終焉におよびて。其顏貌此木像にすこしも |
| J17_0775B21: | 違はず能似はべりければ。流公をはじめ諸人不思議 |
| J17_0775B22: | のおもひをなしける。いま現に光明院にある肖像こ |
| J17_0775B23: | れなり。この像威靈いふべからず。もし僧衆あやま |
| J17_0775B24: | りて足をあとにして寢ることあれば。おぼへずして |
| J17_0775B25: | さかしまになる事間多し。 |
| J17_0775B26: | ○弟子正壽といふものいささか住にくきことありて |
| J17_0775B27: | 師のもとを辭して他國へゆかんとおもひいとまをこ |
| J17_0775B28: | ひければ。師その他行をとどめ和歌を詠じて授けら |
| J17_0775B29: | れける。 |
| J17_0775B30: | ここも風かしこも波の朝あらし |
| J17_0775B31: | やすからざりとちどりなくなり |
| J17_0775B32: | 是によりて他行をおもひとどまりける。 |
| J17_0775B33: | ○弟子歸西といふもの師の眞影を圖畵して點眼を乞 |
| J17_0775B34: | ひければ。色紙がたに一偈を書しまた一首の和歌を |