浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J17_0743A01: | 性なり誠に智は幽深にして涯庭量りかたく辨は懸河 |
J17_0743A02: | の如くにて一言能深儀を説破し給ひけれは大相國家 |
J17_0743A03: | にも御懇の上意あり閣老大炊頭利勝朝臣殊に稱譽せ |
J17_0743A04: | られしとそ今日御紋の袈裟を賜ひ種種の饗膳を下さ |
J17_0743A05: | る上人御齡七十四也兩君既に斯のことし都下の道俗なんそ歸敬 |
J17_0743A06: | せさらんや境地また迫けれは珂山等の諸弟子に語り |
J17_0743A07: | 給はく斯あるは是予か有縁の地なりとて地續の蘆生 |
J17_0743A08: | しけりし沼を官に乞はれけれは速に許容あり上人談 |
J17_0743A09: | 義の序に示したまわく志しあらん人人は土石をゑら |
J17_0743A10: | ばず稱名の聲とともに一簣二簣を運び三毒所感の沼 |
J17_0743A11: | を埋て三寶精舍の地となし安養金地の縁とし給へと |
J17_0743A12: | 有けれは是我等かなすへき業なりとて寬永四年卯八 |
J17_0743A13: | 月數百仞の沼地歸依の檀主銘銘土石を運塡し有德の |
J17_0743A14: | 面面は人夫を以數艘の舟にて運載し不日に成就せん |
J17_0743A15: | と見へしに一所深淵ありて終日運し土石を一夜の中 |
J17_0743A16: | に吹上て本の淵にぞなしにける斯と上人聞給ひしか |
J17_0743A17: | はその所へ行たまい三歸五戒十念を授與し諸法如幻 |
J17_0743B18: | 不實躰の道理懇に敎諭し畢て御歸庵あり其夜の夜半 |
J17_0743B19: | に二人の女子來りてひそかに申て云我等三熱の苦報 |
J17_0743B20: | 果しあるまじきを御敎化にて苦を遁れ候法恩報んに |
J17_0743B21: | 地なしと拜謝しけれは敎諭して曰汝等逢かたくして |
J17_0743B22: | 佛法に逢ひ宜しく彌陀の本願に歸す更に血脈を授け |
J17_0743B23: | んと即龍譽水運海譽涌水と法名を下され十念を授與 |
J17_0743B24: | したまへば有がたく頂戴し殘る所の地形は我等得脱 |
J17_0743B25: | の恩に報ゆべしとて立去りぬ夜明て手手に一箕を携 |
J17_0743B26: | へ土を運ばんとするに深淵五六十仭一夜に平地とな |
J17_0743B27: | る人人驚歎し故を上人に問に莞爾として密に此事を |
J17_0743B28: | 珂山のみに語りたまへり本堂は京間十八間に十五間 |
J17_0743B29: | 自ら圖示し給ふ上人云地形成就せしかは本堂諸堂漸 |
J17_0743B30: | 漸造營すへし學寮の營先たるべしと此事未然よりは |
J17_0743B31: | や上人の德香四方に薰じ安居の僧一千餘人に及けり |
J17_0743B32: | 即台聽に達して檀林に加へらる信者材木を渡海して |
J17_0743B33: | 颶風に逢は大悲の擁護あり今廣閑院に安置する波除觀音これなり田邊に |
J17_0743B34: | 六字の碑を建れは五穀豐饒し今尚砂村にあり楞嚴を研究した |