浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J17_0735A01: | 來引接の印を結び瓶花の上にたたせ給ふ身の毛よだ |
J17_0735A02: | ちてありかたしといふもなほあまりあり上人の給は |
J17_0735A03: | く我日日に花を供養すれは佛もまた日日に影現して |
J17_0735A04: | 道場に入りたまふされば佛のたとひ一花一葉なりと |
J17_0735A05: | も至心に供養し奉れは無量無數の佛を觀見すと説き |
J17_0735A06: | 給ひてすこしも疑ふところなしと仰せられけると |
J17_0735A07: | ぞ。 |
J17_0735A08: | 繪 |
J17_0735A09: | 奧州岩城の能滿寺は上人落髮の地なり彼寺の門前に |
J17_0735A10: | 八藏といふものあり上人壯年の比日日に往來してと |
J17_0735A11: | ふとみけり上人故園を出て幾春秋を過して後八藏む |
J17_0735A12: | かしの鴻恩も忘れかたく又道容の安否もいかがとお |
J17_0735A13: | ぼつかなくて西國三十三所觀音巡禮の便に子息の庄 |
J17_0735A14: | 藏をぐして瓶原心光庵に尋來り上人に拜謁し父子と |
J17_0735A15: | もに竹椽の下に頭をつけ至心に合掌して十念授け給 |
J17_0735A16: | へとこひけれは上人庄藏をつくづくとみ給ひて汝に |
J17_0735A17: | は十念授けがたし其故不審ならば兩足を水に沒して |
J17_0735B18: | 此椽の上を步行せよと仰せられけり庄藏いかがとい |
J17_0735B19: | ぶかしけれど貴名なれは仰にまかせけるに左足の跡 |
J17_0735B20: | は人にして右足の跡は人にあらず時に庄藏身の毛立 |
J17_0735B21: | ておそろしくふるひなから申けるは十年以前に右足 |
J17_0735B22: | にて親八藏を蹴たることありかかる不幸の罪いまあら |
J17_0735B23: | はれてかくあさましきさまになむ侍るかかる極重惡 |
J17_0735B24: | 人懺悔滅罪のためにとて親子ひたすらにねかひて十 |
J17_0735B25: | 念を受け本國に歸りけりその後程なく親八藏は死し |
J17_0735B26: | ぬさて庄藏は再たび上人の所に來りて出家し名を入 |
J17_0735B27: | 聞とぞ申ける。 |
J17_0735B28: | 繪 |
J17_0735B29: | 寬永十四年上人八十六歳その比郡の内に重罪を犯せ |
J17_0735B30: | る輩ありて官家の裁斷刑罸に行はるるに定りぬ上人 |
J17_0735B31: | ふかく悲愍して赦免を願はせ給へど國の大法なれば |
J17_0735B32: | とてゆるさてみな死刑にあひぬされば上人救濟の志 |
J17_0735B33: | もいたづらになり拔苦の行も立ざりければ此地化道 |
J17_0735B34: | 行はれず居住してなんの益かあらんしかし他方に移 |