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J2580 袋中上人伝 〓 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J17_0735A01: 來引接の印を結び瓶花の上にたたせ給ふ身の毛よだ
J17_0735A02: ちてありかたしといふもなほあまりあり上人の給は
J17_0735A03: く我日日に花を供養すれは佛もまた日日に影現して
J17_0735A04: 道場に入りたまふされば佛のたとひ一花一葉なりと
J17_0735A05: も至心に供養し奉れは無量無數の佛を觀見すと説き
J17_0735A06: 給ひてすこしも疑ふところなしと仰せられけると
J17_0735A07: ぞ。
J17_0735A08:
J17_0735A09: 奧州岩城の能滿寺は上人落髮の地なり彼寺の門前に
J17_0735A10: 八藏といふものあり上人壯年の比日日に往來してと
J17_0735A11: ふとみけり上人故園を出て幾春秋を過して後八藏む
J17_0735A12: かしの鴻恩も忘れかたく又道容の安否もいかがとお
J17_0735A13: ぼつかなくて西國三十三所觀音巡禮の便に子息の庄
J17_0735A14: 藏をぐして瓶原心光庵に尋來り上人に拜謁し父子と
J17_0735A15: もに竹椽の下に頭をつけ至心に合掌して十念授け給
J17_0735A16: へとこひけれは上人庄藏をつくづくとみ給ひて汝に
J17_0735A17: は十念授けがたし其故不審ならば兩足を水に沒して
J17_0735B18: 此椽の上を步行せよと仰せられけり庄藏いかがとい
J17_0735B19: ぶかしけれど貴名なれは仰にまかせけるに左足の跡
J17_0735B20: は人にして右足の跡は人にあらず時に庄藏身の毛立
J17_0735B21: ておそろしくふるひなから申けるは十年以前に右足
J17_0735B22: にて親八藏を蹴たることありかかる不幸の罪いまあら
J17_0735B23: はれてかくあさましきさまになむ侍るかかる極重惡
J17_0735B24: 人懺悔滅罪のためにとて親子ひたすらにねかひて十
J17_0735B25: 念を受け本國に歸りけりその後程なく親八藏は死し
J17_0735B26: ぬさて庄藏は再たび上人の所に來りて出家し名を入
J17_0735B27: 聞とぞ申ける。
J17_0735B28:
J17_0735B29: 寬永十四年上人八十六歳その比郡の内に重罪を犯せ
J17_0735B30: る輩ありて官家の裁斷刑罸に行はるるに定りぬ上人
J17_0735B31: ふかく悲愍して赦免を願はせ給へど國の大法なれば
J17_0735B32: とてゆるさてみな死刑にあひぬされば上人救濟の志
J17_0735B33: もいたづらになり拔苦の行も立ざりければ此地化道
J17_0735B34: 行はれず居住してなんの益かあらんしかし他方に移

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