浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J17_0734A01: | 侍る。 |
J17_0734A02: | 繪 |
J17_0734A03: | 江州矢橋の郷に酒家ありけり女房貪欲の心深くして |
J17_0734A04: | ひそかに旅僧を殺せりかの亡魂いたく恨て毎日酒帘 |
J17_0734A05: | の下に來りて家内をきとみいれければ女房忽に狂亂 |
J17_0734A06: | せり或人上人自筆の名號をかの酒帘にかけ置ければ |
J17_0734A07: | 惡靈ふたたび來ことなかりしとぞ。 |
J17_0734A08: | 繪 |
J17_0734A09: | 洛東粟田口某の女房平産すその夜の夢に高僧來りて |
J17_0734A10: | 我汝を守護せしゆへに産生難なかりきといひけれは |
J17_0734A11: | いふかしくおもひてその名をとひけれは我名は袋中 |
J17_0734A12: | 汝常にわれを信仰せしゆへにわれまた汝を守れりと |
J17_0734A13: | 答へ給へば夢たちまち覺ぬ女房おもひけるは我佛壇 |
J17_0734A14: | の内に上人の名號を掛置て朝夕に念すること久しもし |
J17_0734A15: | かかるゆへにもやありけんとやがて三條法林寺に詣 |
J17_0734A16: | でで上人の肖像を拜するに夢中に見し僧の顏貌と毫 |
J17_0734A17: | 髮もたかわざりければ信心肝に銘して感涙を流しけ |
J17_0734B18: | るとぞ聞人みな希有の思をなしぬ。 |
J17_0734B19: | 右二件は上人歿後の益なれども便りにまかせてこ |
J17_0734B20: | こに記し侍る。 |
J17_0734B21: | 繪 |
J17_0734B22: | 上人七十七歳の時知恩院の主持靈岩和尚より淨土名 |
J17_0734B23: | 越派八祖相承の儀を尋ね給ふことありき上人論辨を綴 |
J17_0734B24: | りて名越には彌勒菩薩を八祖の第一とすること深きい |
J17_0734B25: | はれありと敎理を引てくはしく曉諭せらる岩和尚再 |
J17_0734B26: | 三珍翫して所論の趣道理極成せりと稱美して批評を |
J17_0734B27: | 加へ給ふ此書いまに三條法林寺に現在せり。 |
J17_0734B28: | 繪 |
J17_0734B29: | 上人衰朽の身にして老骨を勵まし晝夜六時に禮誦念 |
J17_0734B30: | 佛おこたりなかりけり寬永七庚午三月廿三日例時日 |
J17_0734B31: | 中の勤おはりて上人拍掌して呼給ひけれは弟子良輭 |
J17_0734B32: | いかさまのことにやと思ひていそきまいりけるに上人 |
J17_0734B33: | 佛前をさしてのたまはく瓶花の上に眞佛來現し給へ |
J17_0734B34: | り汝みるや否やと良輭頭を擧てみるに金色 彌陀如 |