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J2580 袋中上人伝 〓 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J17_0731A01: 起立西遊寺 像瞻受用身
J17_0731A02: 稱名不退力 先待結縁人
J17_0731A03:
J17_0731A04: また伏見にしる人ありて立寄信宿し給ひけるに松平
J17_0731A05: 隱岐守上人に拜謁して淨土の安心起行のありさまな
J17_0731A06: などくわしく聽聞しふかく上人に歸依して師檀の契
J17_0731A07: 約ありこれよりして寒暑の音問四時の供養相續して
J17_0731A08: 絶ゆることなし隱岐守逝去の後は嫡子松平越中守先考
J17_0731A09: の跡を追て深く歸仰し供養の品物なンども父の時に
J17_0731A10: おとることなし又上人六十歳慶長十六年の春洛陽第三
J17_0731A11: 橋の邊に伏見次郞兵衞といふ人あり久しく對面の程
J17_0731A12: も打たへぬれは上人尋ねさせ給ひけるに次郞兵衞い
J17_0731A13: とよろこびて永くもここにととめまほしく思ひて家
J17_0731A14: の背なる藪をうかちて草庵をつくれり中に小溝の流
J17_0731A15: あれは道俗分へだてあり淸閑の地なりとて板樣の物
J17_0731A16: をかひわたして通ひけり其比板倉周防守京都の諸司
J17_0731A17: にて威權肩を比ふるものなかりけれは松平越中守よ
J17_0731B18: り使者をつかわしてしかしかのよしをつげて東山佛
J17_0731B19: 詣の次にかならずとひ給へと申をくられけれは周防
J17_0731B20: 守もやかて尋まいられけり聞しよりもみるにまさり
J17_0731B21: て道容の殊勝におはしけれは淨土の法要なンどこま
J17_0731B22: ごま尋聞て渴仰の思ひ淺からざりしとなむそれより
J17_0731B23: 道俗貴賤たうとみて來往の人日日に多かりければそ
J17_0731B24: のわたりの人多く來り集りて堀をうめ地をたいらげ
J17_0731B25: なンどして堂宇を營造して遂に寺となれり即いまの
J17_0731B26: 三條法林寺これなり
J17_0731B27: 元和三年正月廿六日より上人三日三夜の別時念佛を
J17_0731B28: 勤修し給へり廿九日の曉別行の結願なれは鐘もしき
J17_0731B29: りに打稱名もひときは高かりし折から佛殿の内に雲
J17_0731B30: に乘りたる高僧あり雲の色は赤白間雜し身の長は三
J17_0731B31: 尺ばかりにして東の空にむかひて口より化佛三軀を
J17_0731B32: 吐出せりその二軀はちかく一軀はややとおし上人は
J17_0731B33: しめは空也上人とおぼしきかつくづくその容貌をみ
J17_0731B34: たまへは宗祖善導大師なり實に上人自利のためにも

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