浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J17_0729A01: | 又悉曇の興起梵飜の䚹謬など細辨して重て書簡を投 |
J17_0729A02: | せられけるに密徒大に憤激して梵漢のたがひ事義の |
J17_0729A03: | 謬など十四箇所かかげ出して其上に六箇の問難を立 |
J17_0729A04: | てて返翰をなせり上人電覽一過してしばしともいは |
J17_0729A05: | ず即日に操觚をこととして逐一に再破せられけれは |
J17_0729A06: | 密徒その智辨におそれて更らに一口の拒もなかりけ |
J17_0729A07: | り上人此時に梵漢對暎集一卷顯し給へり。 |
J17_0729A08: | 繪 |
J17_0729A09: | 上人三十二歳天正十一年癸未の春淨土の血脉論を造 |
J17_0729A10: | り三十三歳麒麟聖財論私釋四卷を製し三十四歳大原 |
J17_0729A11: | 問答端書をあらわし三十六歳啓袋中一卷を出せり又 |
J17_0729A12: | 三十九歳往生要集を披覽し空觀の下にいたりて忽に |
J17_0729A13: | 法眼をひらき給ふこれより六時勤行をこたりなく六 |
J17_0729A14: | 萬遍の日課退する事なし。 |
J17_0729A15: | 繪 |
J17_0729A16: | 上人四十八歳慶長四年己亥の春岩城の大守深く上人 |
J17_0729A17: | の化導に歸して城内に稱名の道塲を建立して菩提院 |
J17_0729B18: | となづけ上人を招請して法主となし晝夜六時に勤行 |
J17_0729B19: | をこたりなかりき又上人淨土の法門を説て切に勸導 |
J17_0729B20: | せられければ稱名一行城内城外にひろごり老若男女 |
J17_0729B21: | 皆淨土往生の願を發せり其後に寺を城外に移せり今 |
J17_0729B22: | の平の菩提院是なり。 |
J17_0729B23: | 繪 |
J17_0729B24: | 慶長四年關左の境疫疾大に流行して男女貴賤くるし |
J17_0729B25: | む者多かりきその頃上人菩提院に住し給へり一夕一 |
J17_0729B26: | 老翁忽然として來りて上人の傍に侍す上人問て云汝 |
J17_0729B27: | はこれ誰や答云我は是疫神なり上人云汝なんぞ人を |
J17_0729B28: | 惱ます事甚しきや翁答云是人みづから惱めりかなら |
J17_0729B29: | すしもわが所爲にあらすといひをはりて其長三丈ば |
J17_0729B30: | かりの鬼形に變化せり上人驚く氣色もなくこの疾疫 |
J17_0729B31: | 災いかがせは治せんと仰せけれは時に鬼形小盃に藥 |
J17_0729B32: | を盛りて上人にささぐ上人これを受て普く郷里に施 |
J17_0729B33: | 與し給ふにみな其驗を得て疫疾立どころに愈へぬか |
J17_0729B34: | かる勝事のありけるも皆是上人道德のいたす所なり |