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J2580 袋中上人伝 〓 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J17_0727A01: 拜し給ふまた毎夕頭を西方に傾てみづから阿彌陀佛
J17_0727A02: を念ず願生の志勸をまたずして内に動きけるにやと
J17_0727A03: みる人希有の思をなしき。
J17_0727A04:
J17_0727A05: 上人七歳の春一夜眼より光をはなつ父母驚きみて曰
J17_0727A06: 此小童は凡庸のともがらに非ずしかじはやく塵俗を
J17_0727A07: 脱して精舍に入れしめんにはとて同國天蓮社能滿寺住持名存洞
J17_0727A08: 諱良要は兒の叔父なればその許に送れりむかし圓光大
J17_0727A09: 師童稚の時叔父觀學得業の許にいたり給ふに相似た
J17_0727A10: り兒俊才天縱にして時時みづから經論をひらき又窓
J17_0727A11: 前に默坐して觀相の儀則をなす天蓮社これをみて歡
J17_0727A12: 喜淺からず指南倦ことなかりき九歳の比これを試む
J17_0727A13: るに三經一論の外所餘の經論暗誦せるもの數卷に及
J17_0727A14: べり。
J17_0727A15:
J17_0727A16: 上人十四歳 正親町御宇永祿八年乙丑三月十四日花
J17_0727A17: 髮を剃縵衣を着せしめ先沙彌戒を授け名を袋中と呼
J17_0727B18: べり天蓮社試に問て云汝を袋中となづくるその意を
J17_0727B19: しるや答云錐袋を脱するの意歟と天蓮社愕然として
J17_0727B20: その辨捷を喜ぶ十六歳の春叔父おもへらく叢林に入
J17_0727B21: れて秀才の機を發しめんと則同郡の矢目如來寺に投
J17_0727B22: ぜしむそれより學海日日に深く智釼夜に磨けりされば
J17_0727B23: 論塲にしては毎に席を重ぬるの手なり次に山崎專稱
J17_0727B24: 寺に遊學し給ふ時に年滿二十なり又大澤圓通寺に往
J17_0727B25: て大乘圓頓戒を受得す然るに日域淨家の圓頓戒はみ
J17_0727B26: なもと圓光大師台嶺の叡空大德より受得し給ふそれ
J17_0727B27: より寫瓶相承して今上人に至れり上人老後に及で法
J17_0727B28: 水の源をたださんとにや弟子呈觀をして坂本の來迎
J17_0727B29: 寺につかはし台嶺の大德法泉僧正に大戒を受得せん
J17_0727B30: 事をこふ懇請もたしかたけれは僧正聽許し給ふこれ
J17_0727B31: によりて上人急ぎ叡峯に登り僧正に對謁し來迎寺に
J17_0727B32: 於て登壇重受しをはれり中略幸に呈觀は財寶に富りけ
J17_0727B33: れは彼に命して僧正居所のわたりの山林を買得して
J17_0727B34: 恩謝のために寄附せられぬ。

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