浄土宗全書を検索する
AND検索:複数の検索語をスペースで区切って入力すると、前後2行中にそれらを全て含む箇所を検索します。
巻_頁段行 | 本文 |
---|---|
J17_0690A01: | に。上人の異相に驚き天魔鬼神かと怪しみ怖れて往 |
J17_0690A02: | 來既に絶ければ。市町薪に乏しく成りぬ。已ことを |
J17_0690A03: | 得ずして列卒を催し山を狩て糺明する所に。思はず |
J17_0690A04: | も上人柔和忍辱のありさまにて稱名聲澄わたり聞え |
J17_0690A05: | ぬれば。各各隨喜の涙を流し。藤や葛を取集め。木 |
J17_0690A06: | の枝を結びつなぎて輿に作り。上人を舁のせて麓の |
J17_0690A07: | 里に歸り。各各供養禮拜し貴賤群集して利益日日に |
J17_0690A08: | 盛なり。其行化の跡寺と成て彈誓寺と號す其外佐州 |
J17_0690A09: | の内に上人の舊跡五六箇寺あり。 |
J17_0690A10: | ○上人の法化既に國中に普くして念佛申さぬ人もな |
J17_0690A11: | く名號かけぬ家も希なり。時に日蓮敎の俗あり竊に |
J17_0690A12: | 上人の德をしたひ名號を受たく志し。料紙をも調へ |
J17_0690A13: | 置けれども。我本宗を憚り怖れて空しく月日を過せ |
J17_0690A14: | しが。いとど求むる心のやる方なく。人傳ながら願 |
J17_0690A15: | を立けるに。上人微笑して。その名號ははや既に授 |
J17_0690A16: | け畢ぬと告給ふ、思はずながら立歸りてかくと告る |
J17_0690A17: | に。彼人驚き件の料紙を。筥の内より取出して披き |
J17_0690B18: | 見るに。名號題目相並べて明らかに書給へり。信心 |
J17_0690B19: | 髓に徹して渴仰彌增し。永く家の重寶と崇め奉り |
J17_0690B20: | き。 |
J17_0690B21: | ○佐州の化縁既に繁榮なりければ。餘國も又結縁 |
J17_0690B22: | あらまほしく甲斐信濃の境に歸り。大に利益を施し |
J17_0690B23: | 給ふ。諏訪の山邊の唐澤に始めて一宇を造立し。光 |
J17_0690B24: | 明山阿彌陀寺と號す。晝夜六時の勤行に參詣の輩市 |
J17_0690B25: | をなしける飯田の阿彌陀寺大町の彈誓寺松本の念來 |
J17_0690B26: | 寺百瀨の昌念寺雲照院も上人を以て開基とし念佛不 |
J17_0690B27: | 退の道塲なり。 |
J17_0690B28: | ○其頃甲州八代に故心と云禪師あり。深く上人に歸 |
J17_0690B29: | してやんごとなき念佛の行者なり。師を重んずるこ |
J17_0690B30: | と眞佛の如くす。或時しばらく睡眠する内に上人を |
J17_0690B31: | 夢に拜せり。その粧ひ宛も佛身のごとし。綠の髮う |
J17_0690B32: | るはしく。冠にいただく玉の色。身に垂たる瓔珞の |
J17_0690B33: | 莊。白毫光明らけく。身體紫金色にして。白衣を着 |
J17_0690B34: | し邊身の光明普く四邊を照し給ふ。右の御手の内よ |