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J2540 弾誓上人絵詞伝 宅亮 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J17_0688A01: ○それより佐渡の國にわたり給ひ。相川の市に入
J17_0688A02: り。水を汲薪をこり。貧しき家に助をなし。唯いつ
J17_0688A03: となく打しめりて念佛し明し暮し給ひける。
J17_0688A04: ○佛名口に絶ざれば。諸人隨喜し出家をすすめ。川
J17_0688A05: 原田の淨念寺へ誘ひ得度せしめたり。既に剃髮して
J17_0688A06: 法衣を身にまとひ朝暮念佛して食時をだにも知ざれ
J17_0688A07: ば。寺僧の輩にくみ嫌ふこと甚し。これにより又市
J17_0688A08: 町に歸り。諸人の捨し食物を拾ひて命をつぐよすが
J17_0688A09: とし。ひたすらに念佛修行し給へり。
J17_0688A10: ○猶飽たらず修行地に進みて。州の内にある檀特山
J17_0688A11: に分入。心を澄して行ひ給ふ。時に天魔來りて異類
J17_0688A12: 異形に變じ。上人を迷はし菩提をさまたげんとはか
J17_0688A13: る。上人少しも動轉せず一心に稱名し給へば。口よ
J17_0688A14: り光明出て十方に輝り。ときに天魔大に驚怖して散
J17_0688A15: 散ににげ去りぬ。
J17_0688A16: ○或時白色の鬼神あらはれ出。鐵の足駄をはき。鐵
J17_0688A17: の杖を持て上人を一打に殺さんとするありさまな
J17_0688B18: り。上人是にも動轉せずしきりに念佛し給へば。東
J17_0688B19: の峰より藥師如來徐に影向し給ひ。汝恐るることな
J17_0688B20: かれ。是は西方の敎主ぞと告させ給ふ。時に應じて
J17_0688B21: 彼鬼形忽ち變じて彌陀尊と成り。鐵の杖鐵のあしだ
J17_0688B22: を上人に讓り給はりける。それよりして常に此足駄
J17_0688B23: をはき此杖を持て諸國を修行し給ひけり。如來方便
J17_0688B24: 無究にして折伏攝受の二輪ともに轉じ給ふと覺えた
J17_0688B25: り。其鐵の杖は今現に當山にあり。鐵の足駄は相州
J17_0688B26: 塔の峯の靈寶たり。
J17_0688B27: ○其時盲たる白色の女鬼あらはれける時に觀音勢至
J17_0688B28: の二大士。僧形を現じ。上人に告て。汝怖るること
J17_0688B29: なかれ。是又本師彌陀の化現なりとのたまへば忽ち
J17_0688B30: 虚空に一つの宮殿出現す。彼女鬼即ち變じて佛身と
J17_0688B31: なり。宮殿の内に入り西を指して飛去りぬ。
J17_0688B32: ○又或時彌陀如來。白骨。形となりて上人に告て
J17_0688B33: のたまはく。汝如實修行の志あらば。此身に着す
J17_0688B34: る事なかれと策勵し。忽ち變じて佛體と成り大光

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