浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J17_0688A01: | ○それより佐渡の國にわたり給ひ。相川の市に入 |
J17_0688A02: | り。水を汲薪をこり。貧しき家に助をなし。唯いつ |
J17_0688A03: | となく打しめりて念佛し明し暮し給ひける。 |
J17_0688A04: | ○佛名口に絶ざれば。諸人隨喜し出家をすすめ。川 |
J17_0688A05: | 原田の淨念寺へ誘ひ得度せしめたり。既に剃髮して |
J17_0688A06: | 法衣を身にまとひ朝暮念佛して食時をだにも知ざれ |
J17_0688A07: | ば。寺僧の輩にくみ嫌ふこと甚し。これにより又市 |
J17_0688A08: | 町に歸り。諸人の捨し食物を拾ひて命をつぐよすが |
J17_0688A09: | とし。ひたすらに念佛修行し給へり。 |
J17_0688A10: | ○猶飽たらず修行地に進みて。州の内にある檀特山 |
J17_0688A11: | に分入。心を澄して行ひ給ふ。時に天魔來りて異類 |
J17_0688A12: | 異形に變じ。上人を迷はし菩提をさまたげんとはか |
J17_0688A13: | る。上人少しも動轉せず一心に稱名し給へば。口よ |
J17_0688A14: | り光明出て十方に輝り。ときに天魔大に驚怖して散 |
J17_0688A15: | 散ににげ去りぬ。 |
J17_0688A16: | ○或時白色の鬼神あらはれ出。鐵の足駄をはき。鐵 |
J17_0688A17: | の杖を持て上人を一打に殺さんとするありさまな |
J17_0688B18: | り。上人是にも動轉せずしきりに念佛し給へば。東 |
J17_0688B19: | の峰より藥師如來徐に影向し給ひ。汝恐るることな |
J17_0688B20: | かれ。是は西方の敎主ぞと告させ給ふ。時に應じて |
J17_0688B21: | 彼鬼形忽ち變じて彌陀尊と成り。鐵の杖鐵のあしだ |
J17_0688B22: | を上人に讓り給はりける。それよりして常に此足駄 |
J17_0688B23: | をはき此杖を持て諸國を修行し給ひけり。如來方便 |
J17_0688B24: | 無究にして折伏攝受の二輪ともに轉じ給ふと覺えた |
J17_0688B25: | り。其鐵の杖は今現に當山にあり。鐵の足駄は相州 |
J17_0688B26: | 塔の峯の靈寶たり。 |
J17_0688B27: | ○其時盲たる白色の女鬼あらはれける時に觀音勢至 |
J17_0688B28: | の二大士。僧形を現じ。上人に告て。汝怖るること |
J17_0688B29: | なかれ。是又本師彌陀の化現なりとのたまへば忽ち |
J17_0688B30: | 虚空に一つの宮殿出現す。彼女鬼即ち變じて佛身と |
J17_0688B31: | なり。宮殿の内に入り西を指して飛去りぬ。 |
J17_0688B32: | ○又或時彌陀如來。白骨。形となりて上人に告て |
J17_0688B33: | のたまはく。汝如實修行の志あらば。此身に着す |
J17_0688B34: | る事なかれと策勵し。忽ち變じて佛體と成り大光 |