浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J17_0686A01: | 當山居住の時初夜勤行の式とし給ふ今に至りて其式 |
J17_0686A02: | を改むる事なし。世に大原念佛と名づけ。又は三字 |
J17_0686A03: | 念佛とも號す。 |
J17_0686A04: | ○七歳の時たまたま井のもとに立寄。はからずも落 |
J17_0686A05: | 入りて母をよび給ひけるに。かたじけなくも彌陀如 |
J17_0686A06: | 來忽ち來現し給ひて大慈大悲の御手より攝取不捨の |
J17_0686A07: | 綱をたれ小兒を引擧給ひけり。 |
J17_0686A08: | ○九歳の春人の勸めによらずして自然に發心し。母 |
J17_0686A09: | 上に對して出家學道の志をのべられたりけるに。母 |
J17_0686A10: | 堂しばらくこしらへての給ふやうは。ありがたき志 |
J17_0686A11: | なれどもいまだ二葉の齡なれば今少し待給へ。いか |
J17_0686A12: | 樣折もありなんと慰め給ふ。彌釋丸。再三會者定離 |
J17_0686A13: | の理を述て歎かれけるにより。道理にふせられて遂 |
J17_0686A14: | に承諾せられけり是に因て手づから髻をきりて名を |
J17_0686A15: | 禪誓と改め給ひぬ。 |
J17_0686A16: | ○其後美濃の國塚尾の觀音堂に參籠し。一百日を期 |
J17_0686A17: | して無上道心を祈願せらる。時に本尊比丘形を現し |
J17_0686B18: | 來りて。發心の程を感じ上人を禮拜し。念佛の一行 |
J17_0686B19: | 高く諸行に勝るる旨を開示し給へり。 |
J17_0686B20: | ○是より同國武儀郡の山奧に柴の庵を結び。一心不 |
J17_0686B21: | 亂に稱名を修行せらる。光陰速に移りゆきて程なく |
J17_0686B22: | 二十餘回の春秋をわたる。髮鬚を剃るに遑あらざれ |
J17_0686B23: | ば居だけに生まさり宛も仙人のごとし。其内心の所 |
J17_0686B24: | 證いかならんと感歎するに堪たり。 |
J17_0686B25: | ○時に漸く利生のおもひを起し。草庵を立出て近江 |
J17_0686B26: | の國にゆき森山の驛にいたる。里人つげていはく八 |
J17_0686B27: | 洲の渡の橋のほとりに變化の者出步き夜夜人を惱せ |
J17_0686B28: | り。日もすでに山の端にかたぶきぬ。かならず行給 |
J17_0686B29: | ふなかれと誡めたり上人これを聞給ひ。いかなるも |
J17_0686B30: | のならんゆきて敎化せばやとおもひ。かの橋の上に |
J17_0686B31: | 坐して念佛し給ふに。深更におよびて女の靈鬼あら |
J17_0686B32: | はれ出。上人に告るやう。われ在生の時慳貪なりし報 |
J17_0686B33: | ひにて餓鬼道に落たりあはれ上人大慈悲をたれて苦 |
J17_0686B34: | 患を救ひ給はれかしと泣泣かたり聞へたり。身は骨 |