浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J17_0644A01: | 字相翻は小經の説に準して釋し玉ふ一往の釋なり其 |
J17_0644A02: | 實は是壽光等の別德にかきらす萬德皆無量なるかゆ |
J17_0644A03: | へなり異當の異議委くは後日に申上へし又壽の一德 |
J17_0644A04: | を擧て稱するに密敎に淺略深秘の習なとはかねて御 |
J17_0644A05: | 提撕のことしと演説ありけれは又重て宣はく若左のこと |
J17_0644A06: | く甚深の道理あらはいかて其趣を弘通せさるやと仰 |
J17_0644A07: | 有しにされは未來世今日凡夫のための淨土法門なれ |
J17_0644A08: | は甚深は佛邊にまかせて機情の邊は愚鈍第一を正機 |
J17_0644A09: | と相傳して智者の振舞をせす佛語を一向に信し念佛 |
J17_0644A10: | すれは往生するなりと元祖上人沙彌隨蓮に宣ひしこ |
J17_0644A11: | とし更に智解悟解を用ひさるか我宗風にて一枚起請 |
J17_0644A12: | にも此外に奧ふかき事を存せは二尊の憐にはつれ本 |
J17_0644A13: | 願にもれ候へしと元祖も敎誡あられしともふし上ら |
J17_0644A14: | れけれは御感心淺からす蓮宗の法門を委しく聞ことま |
J17_0644A15: | ことに小縁にあらすとて御歸依深かりしとなん。 |
J17_0644A16: | 東山に廬を結ひ勵聲念佛し玉ふ事 |
J17_0644A17: | 同記云天文十七年の秋上人吉水に來臨し玉ひ元祖上 |
J17_0644B18: | 人御廟所の南にかたのことくの平地ありかねて希望の |
J17_0644B19: | 所なれは盧を結ひ御舊跡をしたひ六萬の日課怠りな |
J17_0644B20: | く尋常不臥にして高聲念佛し玉ふ夜も更ゆくにした |
J17_0644B21: | かひ御聲彌增に孜孜として勵しく聞えしかは隨從の |
J17_0644B22: | 門人同行打よりて申けるは御身弱く御惱かちにまし |
J17_0644B23: | ませは御障にや成ぬらんしはしは御休息あれかしと |
J17_0644B24: | 折をうかかひ申けれは上人宣はく曠劫已來生滅の身 |
J17_0644B25: | をうけ二十五有にさまよふ事此穢身を受しゆへなり |
J17_0644B26: | あはれ早く四大離散し魂を淨域にうつさん事をのみ |
J17_0644B27: | 思へば此身をおしむ事更になしと不惜身命に見えさ |
J17_0644B28: | せ給ふゆへまた白して申さく報命の盡させ給はんほ |
J17_0644B29: | どは一日も御壽命を全ふなされ御濟度ましませと申 |
J17_0644B30: | ければ往生は佛の御計ひ念佛は我所作なり其念佛の |
J17_0644B31: | 聲に附て本願のありがたさを思へば濟度利生もおも |
J17_0644B32: | ひわかず片時もはやく往生せん事のみ思ふばかりな |
J17_0644B33: | りと御念佛にそひて御涙交も交も御衣の袖をうるほ |
J17_0644B34: | し玉ふ傍に侍坐せる人も道理にせまりともに涙にむ |