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J2530 称念上人行状記 妙阿 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J17_0644A01: 字相翻は小經の説に準して釋し玉ふ一往の釋なり其
J17_0644A02: 實は是壽光等の別德にかきらす萬德皆無量なるかゆ
J17_0644A03: へなり異當の異議委くは後日に申上へし又壽の一德
J17_0644A04: を擧て稱するに密敎に淺略深秘の習なとはかねて御
J17_0644A05: 提撕のことしと演説ありけれは又重て宣はく若左のこと
J17_0644A06: く甚深の道理あらはいかて其趣を弘通せさるやと仰
J17_0644A07: 有しにされは未來世今日凡夫のための淨土法門なれ
J17_0644A08: は甚深は佛邊にまかせて機情の邊は愚鈍第一を正機
J17_0644A09: と相傳して智者の振舞をせす佛語を一向に信し念佛
J17_0644A10: すれは往生するなりと元祖上人沙彌隨蓮に宣ひしこ
J17_0644A11: とし更に智解悟解を用ひさるか我宗風にて一枚起請
J17_0644A12: にも此外に奧ふかき事を存せは二尊の憐にはつれ本
J17_0644A13: 願にもれ候へしと元祖も敎誡あられしともふし上ら
J17_0644A14: れけれは御感心淺からす蓮宗の法門を委しく聞ことま
J17_0644A15: ことに小縁にあらすとて御歸依深かりしとなん。
J17_0644A16: 東山に廬を結ひ勵聲念佛し玉ふ事
J17_0644A17: 同記云天文十七年の秋上人吉水に來臨し玉ひ元祖上
J17_0644B18: 人御廟所の南にかたのことくの平地ありかねて希望の
J17_0644B19: 所なれは盧を結ひ御舊跡をしたひ六萬の日課怠りな
J17_0644B20: く尋常不臥にして高聲念佛し玉ふ夜も更ゆくにした
J17_0644B21: かひ御聲彌增に孜孜として勵しく聞えしかは隨從の
J17_0644B22: 門人同行打よりて申けるは御身弱く御惱かちにまし
J17_0644B23: ませは御障にや成ぬらんしはしは御休息あれかしと
J17_0644B24: 折をうかかひ申けれは上人宣はく曠劫已來生滅の身
J17_0644B25: をうけ二十五有にさまよふ事此穢身を受しゆへなり
J17_0644B26: あはれ早く四大離散し魂を淨域にうつさん事をのみ
J17_0644B27: 思へば此身をおしむ事更になしと不惜身命に見えさ
J17_0644B28: せ給ふゆへまた白して申さく報命の盡させ給はんほ
J17_0644B29: どは一日も御壽命を全ふなされ御濟度ましませと申
J17_0644B30: ければ往生は佛の御計ひ念佛は我所作なり其念佛の
J17_0644B31: 聲に附て本願のありがたさを思へば濟度利生もおも
J17_0644B32: ひわかず片時もはやく往生せん事のみ思ふばかりな
J17_0644B33: りと御念佛にそひて御涙交も交も御衣の袖をうるほ
J17_0644B34: し玉ふ傍に侍坐せる人も道理にせまりともに涙にむ

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