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J2530 称念上人行状記 妙阿 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J17_0642A01: 重く行は一念十念にて麻のことく輕し何そ報土に生し
J17_0642A02: 成佛する事を得んやと難詰したまふ上人答云く一念
J17_0642A03: 十念の行輕しと思しめし給ふことなかれ此一念の稱は
J17_0642A04: 大盤石より重しすてに一念十念十惡五逆を消滅すい
J17_0642A05: かて輕しとせんや小事なりとて輕んしかたし故に龍
J17_0642A06: 樹大士も小なりといへとも不可輕太子は國王とな
J17_0642A07: るへし火は微なりといへとも能く山野をやき蛇子は
J17_0642A08: 小なれとも毒能く人をころし沙彌は小なりといへと
J17_0642A09: も得聖神通不可輕いかにいはんや佛の威神力をや
J17_0642A10: 比况ありてしろしめさるへしと答へ奉られけれはな
J17_0642A11: ほ難して宣はく少かに六字の稱號いかなる功德あり
J17_0642A12: て五逆十惡等の重罪を滅して往生する事を得るやと
J17_0642A13: 上人答て申さく彌陀六字の寶號は萬德所歸の名號に
J17_0642A14: して果上の威力三賢十聖も測て窺ふ所にあらすなん
J17_0642A15: そ敢て思議せん夫稱讃淨土經には不可思議功德名號
J17_0642A16: と分明に演説し玉へり何ぞみだりに疑滯を生せんや
J17_0642A17: 譬をあけて是を云はは世間の屋舍の名字の中に棟梁
J17_0642B18: 椽柱瓧壁等の一切の家具を攝すれとも棟梁等の一一
J17_0642B19: の名字の中には一切を攝ざるかことし故に萬德を總る
J17_0642B20: 所の名號を唱ふるときは一念の中に惣して萬德を念
J17_0642B21: するに同し其功德はかるべからすこのゆへに華嚴經
J17_0642B22: に大海の中の水は飮み盡すへく虚空もはかるへく風
J17_0642B23: もつなくへくたた説盡す事なきは佛の功德なり此無
J17_0642B24: 盡の德を惣して萬德と名くと説玉へり故に敎に隨て
J17_0642B25: 稱念するときは佛意本願に順して往生の大利を得る
J17_0642B26: 事あやまたす唯ひらに佛語を信して念佛する也此外
J17_0642B27: に奧ふかき事を存せは二尊の憐にはつれ本願にもれ
J17_0642B28: 候へしと元祖上人も門人に敎誡ありしと答へ申させ
J17_0642B29: 給へは法王しはらく御思惟ましまし宣く佛意の深奧
J17_0642B30: を窺ひ探るも學者の習なり佛の名號は萬德所歸にし
J17_0642B31: て盤石より重しといへとも唱るところ唯一念十念な
J17_0642B32: れは甚輕し輕きを以て重き十惡五逆の者往生する道
J17_0642B33: 理いまた審かならすと再三強て御難詰ありけれは上
J17_0642B34: 人思へらく練磨本宗の情をもて淨宗の安心を會得し

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