浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J17_0642A01: | 重く行は一念十念にて麻のことく輕し何そ報土に生し |
J17_0642A02: | 成佛する事を得んやと難詰したまふ上人答云く一念 |
J17_0642A03: | 十念の行輕しと思しめし給ふことなかれ此一念の稱は |
J17_0642A04: | 大盤石より重しすてに一念十念十惡五逆を消滅すい |
J17_0642A05: | かて輕しとせんや小事なりとて輕んしかたし故に龍 |
J17_0642A06: | 樹大士も小なりといへとも不可輕太子は國王とな |
J17_0642A07: | るへし火は微なりといへとも能く山野をやき蛇子は |
J17_0642A08: | 小なれとも毒能く人をころし沙彌は小なりといへと |
J17_0642A09: | も得聖神通不可輕いかにいはんや佛の威神力をや |
J17_0642A10: | 比况ありてしろしめさるへしと答へ奉られけれはな |
J17_0642A11: | ほ難して宣はく少かに六字の稱號いかなる功德あり |
J17_0642A12: | て五逆十惡等の重罪を滅して往生する事を得るやと |
J17_0642A13: | 上人答て申さく彌陀六字の寶號は萬德所歸の名號に |
J17_0642A14: | して果上の威力三賢十聖も測て窺ふ所にあらすなん |
J17_0642A15: | そ敢て思議せん夫稱讃淨土經には不可思議功德名號 |
J17_0642A16: | と分明に演説し玉へり何ぞみだりに疑滯を生せんや |
J17_0642A17: | 譬をあけて是を云はは世間の屋舍の名字の中に棟梁 |
J17_0642B18: | 椽柱瓧壁等の一切の家具を攝すれとも棟梁等の一一 |
J17_0642B19: | の名字の中には一切を攝ざるかことし故に萬德を總る |
J17_0642B20: | 所の名號を唱ふるときは一念の中に惣して萬德を念 |
J17_0642B21: | するに同し其功德はかるべからすこのゆへに華嚴經 |
J17_0642B22: | に大海の中の水は飮み盡すへく虚空もはかるへく風 |
J17_0642B23: | もつなくへくたた説盡す事なきは佛の功德なり此無 |
J17_0642B24: | 盡の德を惣して萬德と名くと説玉へり故に敎に隨て |
J17_0642B25: | 稱念するときは佛意本願に順して往生の大利を得る |
J17_0642B26: | 事あやまたす唯ひらに佛語を信して念佛する也此外 |
J17_0642B27: | に奧ふかき事を存せは二尊の憐にはつれ本願にもれ |
J17_0642B28: | 候へしと元祖上人も門人に敎誡ありしと答へ申させ |
J17_0642B29: | 給へは法王しはらく御思惟ましまし宣く佛意の深奧 |
J17_0642B30: | を窺ひ探るも學者の習なり佛の名號は萬德所歸にし |
J17_0642B31: | て盤石より重しといへとも唱るところ唯一念十念な |
J17_0642B32: | れは甚輕し輕きを以て重き十惡五逆の者往生する道 |
J17_0642B33: | 理いまた審かならすと再三強て御難詰ありけれは上 |
J17_0642B34: | 人思へらく練磨本宗の情をもて淨宗の安心を會得し |