浄土宗全書を検索する
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| 巻＿頁段行 | 本文 |
|---|---|
| J17_0640A01: | 乘シテ漁ス多ク魚ヲ得タリ日暮テ市ニ入コトアタハズ其夜浦中ニ宿ス忽チ千有餘人ノ念佛スルヲ聞ク怪テ起テ見ルニ寂然トシテ人無シサテハ夢ナラント睡眠スルニ亦多人念佛ノ聲ナリ父子ツクツク見ルニ即チ船中ノ魚大小トモニ尾ヲフルヒ鰭ヲ動シ諸魚ノ念佛スルナリ父子共ニ歎ジテ曰ク我レ曾テ聞ク生ルモノ皆佛性アリトカクマノアタリ是ヲ見聞シテ生計ヲナス事有ヘカラスト悉ク水中ニ投シ家ニカヘリ至心ニ念佛シ業ヲアラタメ薪ヲ鬻キ生計ヲナセリ父子石頭岩ニ木コリセシニ日暮テ江邊ニ宿ス沙中ニ光焰アルヲ見ル是ヲ堀ルニ黄金數片ヲ得タリ翌日市ニ至テ是ヲ賣ニ市人ノ曰コレハ紫磨黄金ナリトテ鏹錢數萬ヲ得テ富メリト是レ惡ヲ改メ念佛門ニ入ヌル故ヘナリ故ニ魚類ノ稱佛セル事唯タ阿彌陀魚ノミニ非ザルコト知ルベシ已上念佛感應傳○流水長者子者金光明經第四流水長者子品第十六ニ出タリ時長者子於池四邊彷徉而行是魚爾時亦復隨逐巡岸而行等云云歳月遙ニヘタタリ處所モ亦遠ク異ナリトイヘトモ感應ノ理リ遐方終古コトナル事ナシ妄リニアヤシム事ナカレ天壤遙ニ隔タリヌレド今日現ニ水月照應セルコト目ニフレテ知ルベシ。 |
| J17_0640A02: | 其後六箇年を經機根熟しぬれは別時念佛をはしめ玉 |
| J17_0640A03: | ひ衆徒のために其規則を製し玉ふ其條條左のことし。 |
| J17_0640A04: | 專稱庵同行衆法度事 |
| J17_0640A05: | 一於同一念佛衆者無親踈眞實堅固可思想事 |
| J17_0640A06: | 一於世間出世之事立我義分不可致諍論之事 |
| J17_0640B07: | 一掃除已下各可爲同心事 |
| J17_0640B08: | 一對在家之人不可無禮事 |
| J17_0640B09: | 一佛殿勤行晝者三番夜者除總番四番可定之事 |
| J17_0640B10: | 右所定如件 |
| J17_0640B11: | 天文二十二年極月 稱 念 |
| J17_0640B12: | ○專稱庵者山城國愛宕郡鞍馬谷野中村ナリ草創ハ天文十七年ノ春ナリ上人京師遐邇ニオヰテ念佛道場ヲ建立シ玉フ最初ノ地ニシテ開山上人捨世一派ノ軌則ヲ立給ノ始メナレバ道俗倶ニ敎示ネンコロ丁寧ニアリシヤ遺風今ニ殘リテ野中市原二ノ瀨近郷ノ在家ニイタリ誦經ナトシケレハ開山ノ御意ニアラズ唯タ念佛シ玉ヘトイヘル輩多シトカヤ夫萬行ノ中ニオヰテ念佛ノ一行ヲヱラヒトリテ本願トシ玉ヒ今日世尊無上功德ト讃嘆シ十方諸佛ハ不可思議ト稱讃證誠シ玉フ無上大利ノ法門ナレバ誦經書寫ナドヲ捨テ唯稱念佛コソワケテ佛ノ正意ニカナヒヌラン斯ル農夫野客ニ至ルマデ今ニ其敎誡ヲ受マモリヌルコハイト殊勝ナリキ。 |
| J17_0640B13: | 上人剃髮舍利の事 |
| J17_0640B14: | 上人專稱庵におはせしとき關東より舊識の僧尋來り |
| J17_0640B15: | そのかみ關東修學の困苦また宗要安心起行の沙汰時 |
| J17_0640B16: | をうつしけりつらつら上人の鬚髮おひのびて程過し |
| J17_0640B17: | まま剃參らせんとこひけれはふるき朋とちとて更に |