浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J17_0637A01: | 相殘リ毎年正月御忌ノ念佛ハ當院ヨリ主伴トモニ別時念佛執行怠リナシ爾ノミナラス影堂彌陀堂建立シ玉ヒケレハ現住德譽上人(知恩院第二十七世)ヨリ其至誠ヲ感シテ大師ノ眞筆六字ノ名號一軸開山上人ニ賜即裏書ニ其義ヲ書アラハシケル即當院什寳トシテ今ニ有リ。 |
J17_0637A02: | 時に現住德譽和尚曾て上人と法契あつくましました |
J17_0637A03: | れは大師前に通夜し給ふ事七日に及へり其間祇園の |
J17_0637A04: | 神社に詣て至心に法施し玉ひ道心の堅固ならん事を |
J17_0637A05: | 祈り兼て弘願の一行を弘通せんことを牛頭天王に祈り |
J17_0637A06: | 給ふに上人の至誠なるを納受ましまして出現ありし |
J17_0637A07: | 尊容を面り拜し玉へりとなん。 |
J17_0637A08: | ○祇園神社上人常ニ詣テ玉ヒケレバ時ノ當職本願ヘ神告アリ即チ本願ノ計ヒトシテ參詣ノ近カラン道ヲ開キ給リケルトナン則チ祇園林ノ東北華頂山ノ西南ニアタリテ兩地ノ境ニ柵門ヲモフケテ是ヨリ常ニ詣テ玉ヒヌレハ皆人コノ門ヲ稱念門トヨヒ路ヲモ口順ニ稱念道ト云ケル今ニ老人ノ言傳侍リ即當今知恩院南ノ門是ナリ。 |
J17_0637A09: | 其頃市原の北野中の里に黑瀨氏某といひし有信の人 |
J17_0637A10: | あり妻も同しく志し厚く侍りしかはともに淸水寺に |
J17_0637A11: | 詣て後世菩提の道敎へさとさん人侍らは示し給へと |
J17_0637A12: | ふかく祈請しけるに或夜夢中に觀自在菩薩枕の上に |
J17_0637B13: | たたせ玉ひ眞の善知識を得んと思はは華頂山に至へ |
J17_0637B14: | しと告玉ふと見て覺ぬ黑瀨靈告のむなしからさる事 |
J17_0637B15: | を信して吉水の影堂にいたるに果して上人に値遇し |
J17_0637B16: | 奉りけれは内德外にあふれ墨染の御すがたいと貴と |
J17_0637B17: | く見へさせたまへは靈告の善知識まがふ所なく此御 |
J17_0637B18: | 方にこそ有らむと首をたれ上人に向ひ奉りて瑞夢の |
J17_0637B19: | 御事をなんしかしかとかたり參らせて偏に將來の闇 |
J17_0637B20: | 路を照導し玉へとなげきもふしけれは上人すなはち |
J17_0637B21: | 稱名一行の功高く修しやすふして功德廣大なる事を |
J17_0637B22: | 示し今時罪惡生死の凡夫此悲願をはなれて往生得脱 |
J17_0637B23: | すへき道なし早く淨土專修の門に入へしと勸諭し玉 |
J17_0637B24: | ふ御ことは肝に銘し歡喜の涙をしぼりかさねて申やう |
J17_0637B25: | 願は我住ぬる里へ來臨ましまし邊鄙の愚人をすくひ |
J17_0637B26: | 玉へと請し奉りしかは默してこれをうけ玉ひ其後ほ |
J17_0637B27: | と經て野中の郷に趣き給ひ聖道淨土の難易二道自力 |
J17_0637B28: | 他力のわかちを示し娑婆の苦因を説て猒離をすすめ |
J17_0637B29: | 或は淨土の樂果を示して欣淨を勸給ふに老少袖をつ |