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J2530 称念上人行状記 妙阿 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J17_0635A01: 如實ノ大道人トイヒツヘシコレヲ見ル人誰カ感發セサラン。
J17_0635A02: 信樂西上人え和歌を贈り玉ふ事
J17_0635A03: 上人の法兄信樂西上人とて武州にいまして一方の法
J17_0635A04: 將たりしとなん或とき書をよせ給ひし時一首の和歌
J17_0635A05: を贈り玉ふ。
J17_0635A06: うきことのかさなるこそは嬉しけれ
J17_0635A07: 世をいとふ身のたよりと思へは
J17_0635A08: 信樂西上人の御返歌に
J17_0635A09: 後の世をおそれて今は柴の戸を
J17_0635A10: あけくれひとり南無阿彌陀佛
J17_0635A11: ○ウキコトノ歌ハ大師ノ詠歌ト世上ノクチニアリ御傳語燈錄九卷十卷ノ別傳及空華和歌集ニモ見エ侍ラズ吾上人遺跡ノ古記分明ニ法兄上人贈答ナル事イチジルシ猒欣ノ御志シセチニオハシマサズハイカデカクナン詠ジ玉フベキ御安心ノ程イトタウトシ。
J17_0635A12: 京師に飛錫し給ふ事
J17_0635A13: 勢州に掛錫し玉ふ事三秋を經玉へは四輩同しく化を
J17_0635A14: 蒙るもの幾許といふ事をしらずされは上人浮雲の名
J17_0635A15: 利に繫れん事をいとひはやくここを去て京師にいた
J17_0635B16: らんと程なく門人稱憶能信等を伴ひみづから笈を負
J17_0635B17: ひ樹敬寺を辭し鈴鹿山によぢのぼり宮居を拜ししは
J17_0635B18: らく法樂をすすめ終りてかへり見給へは一人の旅客
J17_0635B19: 同しく宮居を拜しけるを近より御覽あれは日比した
J17_0635B20: しく朝暮步みをはこひぬる村田某なり上人驚き給ひ
J17_0635B21: 汝何國にゆきけるやと尋給へは打涙くみて申けるは
J17_0635B22: 上人の御別れ餘りに御名殘おしく悲しけれは落着せ
J17_0635B23: 玉ふ所を見參らせんと見えかくれにこれまて送り奉
J17_0635B24: りしと申上れは上人も其厚志しいと殊勝に思ひ玉へ
J17_0635B25: とわさと敎訓の聲をはげしうして宣ひけるは汝かた
J17_0635B26: ちに影の添へるがことく是まて慕ふ心はまめやかにし
J17_0635B27: て淺からすありしかと年闌齡かたぶきし身なれは旅
J17_0635B28: 行たえかたく稱名の行おのづからものうからん電光
J17_0635B29: 石火の世の中ゆふへもしらぬ露のいのちをもちなか
J17_0635B30: ら若や念佛怠りなば往生や失ひぬらん早く古郷に立
J17_0635B31: かへり無間に稱名相續あるこそわれ人の本意なれ構
J17_0635B32: て怠りある事なかれといと慇に勸誡し給へは老人も

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