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J2530 称念上人行状記 妙阿 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J17_0633A01: 專修の門に入らざるはなかりき。
J17_0633A02: 上人拜書し給ふ六字名號不思議の事
J17_0633A03: 同記云或時歸依の人紺紙金泥の彌陀の名號を願ひけ
J17_0633A04: れは請に應して親書したまひ名號の下に禰念と華押
J17_0633A05: して授與し玉へは彼人いみしく秘藏し侍りぬほと經
J17_0633A06: て偶たま是を拜見せるに華押いつとなく蓮華と變ぜ
J17_0633A07: り護持者驚歎してすなはち上人に斯と見せ奉しに更
J17_0633A08: にあやしみ給ふ事もなく制誡して宣く必す他にむか
J17_0633A09: ひてかたる事なかれと仰られける。
J17_0633A10: ○實ニヤタマタマ上人自筆ノ寶號ヲ拜見スルニ御名ヲシルシ玉ハザルアリ是レフカク德ヲカクシ光リヲ韜ミ玉ヒ爾レヨリ後ハ御名モ華押モナシトヤ此ノユヘナランイトタウトシ。
J17_0633A11: 又云松坂の某ふかく上人に歸投し敬ひて眞書の名號
J17_0633A12: を請ひもとめしに望に應しあたへ給ふ一時信士舍
J17_0633A13: 宅思ひよらず火災にかかりて住居財寶ことことく灰
J17_0633A14: 燼となりき信士は冢財の燒失をかたらず只ひたすら
J17_0633A15: に名號の燒亡せるを悲しみ火おさまりしかば灰かき
J17_0633A16: わけて尋ねしに地紙は燒うせて唯名號の六字のみ儼
J17_0633B17: 然として殘れり是によりて信敬ますます厚く晝夜身
J17_0633B18: を放たす奉持せり其後出家剃髮して嵯峨の功德院に
J17_0633B19: 間栖し彼名號は同所證安院に寄附せりと。
J17_0633B20: ○功德院ハ角倉氏建立ニテ釋迦堂ノ前ニアリ建立ノ縁起等別ニアル由シ古記ニ見タリ證安院ハ稱念寺ノ末寺ニテ寺ハアリシカト彼ノ名號ハナシ。
J17_0633B21: 木内氏のもとへ贈り給ふ御消息の事
J17_0633B22: 一去月船便りの時分以一書令申候今度御懇切之御狀
J17_0633B23: 能能致披見會顏之心地にて喜悅如仰愚僧當春可罷下
J17_0633B24: 之由令兼約候間其旨存候て去冬より種種致愚案如斯
J17_0633B25: 存候元來其國愚僧故郷にて候間罷下り候はんと支度
J17_0633B26: 致候へは色色の名利の心おこり欲心もふかく何やか
J17_0633B27: や調度心出來候間妄想顚倒のもとひなりかかるいた
J17_0633B28: づらなる心を心にまかせ候せは果して大徒物たるへ
J17_0633B29: く候間所詮不罷下候得はおのつから欲心もうすく貯
J17_0633B30: る機も少く罷成候就之致無首尾候事全非心中等閑候
J17_0633B31: 本より御分別の前に候間能能御賢察あるへく候。
J17_0633B32: 一其國へ罷下候て以後の事を思案申候に法眷弟子あ

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