浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J17_0632A01: | を敕使にて大勸進職たるべきよし 後白河法皇の御 |
J17_0632A02: | 氣色ありけるに大師申させ給ひけるは山門の交衆を |
J17_0632A03: | 遁れて林泉の幽栖をしめ侍ることはしづかに佛道を修 |
J17_0632A04: | し偏に念佛を行せんがためなり若勸進の職に居せは |
J17_0632A05: | 劇務萬端にして素意專そむくべきよしを堅く辭し申 |
J17_0632A06: | されければ行隆朝臣其堅固なるを見てことのよしを |
J17_0632A07: | 奏聞有しに若門徒の中に器量の仁あらば擧し申べき |
J17_0632A08: | よし重て仰下されけるによつて大師御弟子の中より |
J17_0632A09: | 大器の人を撰出し推擧し申さるるは醍醐の俊乘房重 |
J17_0632A10: | 源なり遂に大勸進の職に補せられけり是によつて俊 |
J17_0632A11: | 乘房伊勢太神宮に參て此願若成就すべくは其瑞相 |
J17_0632A12: | を示し給へと祈請ありしに三七日の曉打まどろめる |
J17_0632A13: | 夢に唐裝束したる貴女方寸の玉を授け給と思て覺て |
J17_0632A14: | 見れば彼玉うつつに袖の上にあり重源是を得て大に |
J17_0632A15: | 悅ひ珍秘す其後天下響のごとく應して財寶こころに |
J17_0632A16: | 任せけれは程なく金銅の本尊元のごとくみがき顯し |
J17_0632A17: | 奉る大殿造立速に成就しけるとかや重源上人祈願の |
J17_0632B18: | 後は太神宮に步を運び其高德隱れなかりけれは此 |
J17_0632B19: | 彼に歸依ふかく處處に道場を構へ不斷念佛をはじめ |
J17_0632B20: | 給ふ事七箇寺即樹敬寺も其隨一なり其後人王百三代後花園院正長元 |
J17_0632B21: | 年十二月國司北畠中納言源敎具兵亂のとき回祿して一時 |
J17_0632B22: | の煙と成にき夫より百餘年を經て人皇百六代後奈良 |
J17_0632B23: | 院の御宇亨祿元年三州大樹寺勢譽愚底上人の高弟松 |
J17_0632B24: | 颯和尚當國に遊履し其破壞せるを見て嘆じて終に錫 |
J17_0632B25: | をここにとどめて心を修造につくしはたして堂閣成 |
J17_0632B26: | 就せり其後四代を經て上人來り住し玉ふに德光のお |
J17_0632B27: | よぶ所道俗男女競ひ馳て嬰兒の母を慕がごとく恩澤 |
J17_0632B28: | に浴するもの幾千萬といふ事をしらすこと更學生の請 |
J17_0632B29: | によりて天文十四年正月下旬より上人大原問答講説 |
J17_0632B30: | ありしに僧侶二千指餘り來集して圍饒渴仰せり上人 |
J17_0632B31: | 高辨無礙にして懸河の流るるがごとく智解幽玅凡人 |
J17_0632B32: | のおよぶところにあらず此ゆへに四莚耳を驚し大衆 |
J17_0632B33: | 皆感伏して立どころに我慢の邪義をすて偏執の僻見 |
J17_0632B34: | を改め終に眞門の正義を尊み弘願の威風を仰き悉く |