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J2520 湖東三僧伝 信冏 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J17_0622A01: 房にかきこもり急げばをそきひまの駒さらに鞭けし
J17_0622A02: きにて念佛の外は他縁なかりけりここに八とせすぎ
J17_0622A03: て師のとし八十にみち給へる永正十五年の冬年來の
J17_0622A04: 咳〓さへ止みてふつに病惱の形狀なくおはしけるか
J17_0622A05: 或日わが最後の別行に開山の正忌を期し七日の念佛
J17_0622A06: つとめばやとて衆をかたらひ十二月六日よりはじめ
J17_0622A07: 給ひしが欣求の誠色にあらはれ歸命の思ひ聲にひび
J17_0622A08: き人の心も稱名にうきたち七日も程なく今夜ばかり
J17_0622A09: になりにし時結衆の聖達この三昧のたうとさのなご
J17_0622A10: りに今七日つとめ參らせばやといへはそれこそ老僧
J17_0622A11: がほいなれとて引つづき行ひ十九日に回向したまへ
J17_0622A12: り法事讚云淨土莊嚴諸聖衆籠籠常在行人前と又空
J17_0622A13: 也上人の宣くよなよな佛の來迎をまちあさなあさな最
J17_0622A14: 後のちかづくをよろこぶと或日師これらの文を沈吟
J17_0622A15: しげにげにとひとりごち感じ給へるを人のいかにと
J17_0622A16: とひ奉つれは勤てしり給へかしと答へ給ふとなん終
J17_0622A17: 焉、ちかきこのごろすらなほあらはにかくとかたり
J17_0622B18: 給はぬをもて年ごろ好相のありしことも推はかられ侍
J17_0622B19: りぬ二十七日の正午佛前に脇息によりて稱名し給ふ
J17_0622B20: がしきりにあなたうとあなたうとと宣ひけるを例のごとく
J17_0622B21: 尋ね申せばそらをゆびさし給ひこの聖衆をばをかみ
J17_0622B22: 奉らぬにやと仰られける、二十八日なる巳の時かた
J17_0622B23: り給はく本尊やや大にならせらるるを不思議とまも
J17_0622B24: り奉ほどに虚空に充徧し給へりとかたり給へはかた
J17_0622B25: へに侍る童これをきき御夢にやと申ければほほゑみ
J17_0622B26: 給ひつつそれよなと仰られける同じ日のゆうさりか
J17_0622B27: た上足の門弟へ仰られけるは今家を淨嚴宗といへば
J17_0622B28: 別流をたつるに似たれどもさにはあらず、これは勅
J17_0622B29: 稱なり法は全く吉水の流を汲み鎭西の義を傳ふ其た
J17_0622B30: などるところ申さば往生すと師資相承せりこれ凡入
J17_0622B31: 報土の故實にして無生の消息なり努つとめてこれにたが
J17_0622B32: ふことなく自行化他すべし、又誰たれもまめやかに
J17_0622B33: 發願文のごとく誓をたて急に心行を勵むべし、さら
J17_0622B34: では信施も消しがたく眞の法師にあらず又衆を領す

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