浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J17_0617A01: | といひ傳へる處ありこの草庵の跡なり又一書に玉藏院の淨嚴房と書りされば玉藏院にもすみ給へろにやこの玉藏院今は絶て名のみ殘れり |
J17_0617A02: | に跡を晦しとはぬは人の情なりけりとて課佛八萬四 |
J17_0617A03: | 千返の外は他事なかりけりされどその德世にかくれ |
J17_0617A04: | なく我さきに供養を述べんとて人のあらそひきにけ |
J17_0617A05: | れば幽閑の地も市のごとしとなんさるにこの山峰を |
J17_0617A06: | 限に女人を結界しぬれば五障の身の化にもるる恨み |
J17_0617A07: | ふかくあはれ里に下りましてむらなき大悲に女をも |
J17_0617A08: | 哀みたまへかしといと念比にきこゆることのききす |
J17_0617A09: | ごしがたくて應永二十年のころ金勝山の東阪峰の庵より五十丁 |
J17_0617A10: | ばかり下にありに菴を造らんとし給ひけるに水便ならざれは |
J17_0617A11: | いかがはせんとためらひ給へるに殊勝の水われと流 |
J17_0617A12: | 出で醴泉となりければこの醴泉隆堯水とあざ名して現に當山の總門の内むる護信菴の南にありこの |
J17_0617A13: | 醴泉護信庵の南にあるより思ふにむかし開山の結びたまひし庵は今の護信庵のあたりなるべし又一説に法印如意もて地をさしその所を |
J17_0617A14: | 穿たしめ給へるにすなはち水迸りいてぬれば如意水とも名づくと云へりこれや龍天の加祐ならん |
J17_0617A15: | とて遂に形ばかりなる庵をむすびかの天照佛を本尊 |
J17_0617A16: | に仰ぎ弘法の道塲となしたまひぬ後宗眞上人此庵を |
J17_0617A17: | 擴て阿彌陀寺と號し給へり應永二十六年法印かの石 |
J17_0617B18: | 山詣に感得したまへる三部の假名抄を始て彫刻し給 |
J17_0617B19: | へり一條禪閤兼良公これをかかせられけれは四明の |
J17_0617B20: | 良俊法印功德主となりて梓に上せたまひぬ又しかし |
J17_0617B21: | より此抄世に弘り今なほ翻刻に行はれり法印の假名抄の跋に三部抄 |
J17_0617B22: | を版に鏤めて當院に安置すといへるこれなり又應永の間法印宗祖大師及び諸師 |
J17_0617B23: | の法語の中より本願の要語を抄書して念佛安心大要 |
J17_0617B24: | と名づけたまひしがこれふかく佛意に契ふと云へる |
J17_0617B25: | 聖〓七度まで降りければかかる奇特は前代にもいま |
J17_0617B26: | だきかずとて手づから淨書して上木したまへりなほ |
J17_0617B27: | 具にはかの鈔の奧書に自記し給へるがごとし又永享 |
J17_0617B28: | 三年稱名念佛奇特現證集を輯錄し正德年中に寶洲上人此集を校正し更に冠注を |
J17_0617B29: | そへ卷末に蓮門祈禱の辨を附して重刻したまへりこの集の中祈禱に渉れることあればなり又永享五年十王修 |
J17_0617B30: | 善抄を撰述し給へり倶に世に行はる寶德元年己巳の |
J17_0617B31: | 冬法印日來の老病增氣してつひに十二月十二日午の |
J17_0617B32: | 尅金勝寺の草庵に於て天華紫雲の瑞に微笑し稱名の |
J17_0617B33: | 聲とともに滅を唱へたまへり時に異香谷に薰り天樂 |
J17_0617B34: | 峰に響けり春秋八十一遺骸を荼毘して芳骨を當山の |